読みもの

泌尿器科科長　稲土博右

　「おしっこ」について、考えたことがありますか？
　毎日、当たり前のようにしている「おしっこ」は、体の中（血液の中）の不必要になった物質や水分が腎臓で濾過され、尿管を通って膀胱まで運ばれ、ある程度まで貯まった時に時にトイレで排泄しています。
　いつものことなので、なかなか異常に気づかず（気づいても気づかないふりをして）過ごされています。

　流石に、尿に血が混じったり（血尿）、尿が出なくなって（尿閉）腹痛や体が浮腫（むく）んできたら、誰でも気づき、お医者さんを受診すると思います。
　けれども、「おしっこが近いだけ」、「おしっこの切れが悪いだけ」、「歳を取ったら夜起きるのは当たり前」、「少し漏れるだけ」等々、人に言えない恥ずかしさもあり、自分なりに納得してしまっている方が多く見られるようです。
　放っておくと「おしっこが近くて、楽しみだったバス旅行も行けなくなった」、「おしっこの漏れている臭いが人に気づかれるので、家から出たり人に会うのがイヤになっている」、「外出してもトイレの場所が気になって買い物の満足にできなくなった」、「夜おしっこに起きて、眠りが浅くて昼間眠くて仕方がない」などの悩みになり、社会生活に支障を来したり、夜暗い中でトイレに起きて、転倒・骨折の原因につながることもあります。
　昨今、新聞・テレビ等で時々目にするとは思いますが、適切な治療により治る方もたくさんいらっしゃいます。

　聞き慣れないかもしれませんが、前立腺肥大症・過活動膀胱・間質性膀胱炎・骨盤内臓器脱などの病気がそれです。

　「おしっこ」についての悩みは、恥ずかしくてなかなか人には相談できず、自分なりに納得し、我慢しているあなた!!
　＜症状チェック表＞を用い、少なくとも３～６ヶ月で判定してください。
　中等症以上になったら治療が必要です。この症状チェック表を持って、勇気を出してお医者さんに相談してください。

男女兼用　《質問》 現在の尿の状態が、このまま変わらずに続くとしたら、どう思いますか？

男性専用
　前立腺肥大症に伴う排尿症状をみるもので、ＩＰＳＳ（国際前立腺症状スコア）
　・０～７点　　　軽　症：経過観察してみてください。
　・８～19点　 　中等症：泌尿器科以外でも構わないので、医師に相談してください。
　・20～35点　　重　症：すぐに治療が必要ですので、泌尿器科を受診してください。

男女兼用
　頻尿・尿失禁に関するもので、ＯＡＢSS（過活動膀胱症状スコア）
　・３～５点　　　軽　症：経過観察してみてください。
　・６～11点　 　中等症：泌尿器科以外でも構わないので、医師に相談してください。
　・12～15点　　重　症：すぐに治療が必要ですので、泌尿器科を受診してください。