漢方外来

スタッフと専門領域
| 医師名 | 出身大学 | 医師免許取得年 | 専門領域・資格等 |
|---|---|---|---|
非常勤医師尾﨑正時 |
千葉大学 | 昭和58年 |
・医学博士 【主な領域:漢方、栄養療法、慢性上咽頭炎、EAT(上咽頭擦過療法)】 |
原因不明の不調に対する当科の捉え方
検査で「異常なし」とされる不調に向き合う
「身体がだるくすっきりしない」「のどの違和感、頭痛、めまいが続く」といった症状があっても、医療機関の検査では「異常なし」とされるケースは少なくありません。
現代医学の検査は洗練されていますが、数値や画像に表れない機能低下や、微細な組織の炎症までは捉えきれないことがあります。当科では、一般的な検査では原因の特定できない体調不良(不定愁訴)に対し、独自の視点で診断・治療を行っています。
当科が重視する「2つの隠れた原因」
1.細胞レベルでの「栄養状態の偏り」
- 健康診断の基準値は「重篤な疾患がないか」を判断する指標です。検査で異常がなく、カロリーは足りていても、特定のビタミンやミネラルなどが不足する「質的栄養失調」の方が多々見受けられます。
2.のどの奥の隠れた炎症「慢性上咽頭炎」
- 受診される多くの患者さんに共通するのが、鼻の突き当たりにある「上咽頭」の炎症です。この場所は神経や血管が豊富で、自律神経、免疫とも深く関わっているため、炎症が続くと全身に多彩な症状を引き起こします。
なぜ、3つのアプローチを同時に行うのか
「栄養不足」では薬を十分に効かせることができません。また「上咽頭の炎症」が残っていれば自律神経の乱れは続きます。
当科では、詳細な採血データから栄養を補い、漢方で気血の巡りを調え、さらに自律神経の乱れの源である上咽頭の炎症を直接抑えます。これら3つのアプローチを同時に行うことで、原因不明の不調を根本的に解決します。

採血データから読み解く「細胞レベルの栄養状態」
漢方における栄養状態把握の必要性
どんなに優れた漢方薬や西洋薬を使っても、それを働かせる体が材料(栄養素)不足で劣化していると、薬の本来の効果は期待できません。
漢方の「気(エネルギー)」「血(血液や栄養)」の不足は、現代医学的には「エネルギー(ATP)産生の低下」や「栄養素の欠乏」と捉えることができます。栄養状態が悪いと漢方の効果も限定的になってしまうため、当科では分子栄養学に基づいた採血データの分析を行っています。
特に重要なのは、タンパク質、鉄、マグネシウム、亜鉛、ナイアシン、ビタミンD、B6です。なかでもタンパク質は特に重要です。また鉄はタンパクと同時に失われるので、タンパク不足と鉄不足の症状は同時にでることがほとんどです。鉄タンパク不足の症状を表にすると以下のようになります。

当科における栄養療法の実際
採血検査に基づき、個人の生活に合わせた具体的な提案をします。
- 食事指導: 不足しているタンパク質、ビタミン、ミネラル等を補うための食事指導を行います。
- 市販サプリ等の適切な活用: 続けやすさを優先し、安価で高含有量の市販サプリの使い方を個別にアドバイスします。適宜、保険適応の医薬品も使用します。
漢方薬を主軸とした、漢方と現代医学のハイブリッド治療
一人ひとりの「体質」に合わせるオーダーメイドの漢方
西洋医学が病名で薬を決めるのに対し、漢方は一人ひとりの体質やバランスの乱れ(証:しょう)を重視します。正しく証が決まれば、漢方薬は驚くほどの速効性を発揮します(風邪など)。また、検査で異常がないさまざまな不調や、同時にある複数の症状も、一つの処方でまとめて対応できます。副作用が少なく穏やかに作用し、身体本来の自己治癒力を高めて根本改善へ導く点も、現代薬にはない大きな魅力です。当科では東洋医学的診察を通じて、あなたに最適な漢方薬を選定します。
柔軟な現代薬(西洋薬)の併用
一方、現代薬(西洋薬)には高い即効性や、特定の症状をシャープに抑える薬効があります。また作用機序や副作用も解明されており、剤形(錠剤・カプセル等)も豊富で扱いやすく飲みやすいというメリットがあります。両者を柔軟に組み合わせることで、より合理的で確実な回復プロセスを組み立てます。
不調に潜む「慢性上咽頭炎」への同時アプローチ
漢方の古典が伝える「怪病は痰に属す」の現代的解釈
漢方の口訣(くけつ)に「怪病は痰に属す」というものがあります。検査で特定できない、あちこちに飛び火する奇妙な不調は、身体のなかの病的物質「痰(炎症性物質や過剰分泌物)」が原因であるという意味です。
この「痰」がどこにあるかを現代医学的に検証すると、のどの奥にある「慢性上咽頭炎」に辿り着くケースがほとんどです。当科を受診される患者さんの9割以上に慢性上咽頭炎を認めています。
自律神経のスイッチ「上咽頭」の不調
上咽頭は神経のネットワークが高密度に張り巡らされている場所です。ここに慢性的な炎症があると神経が絶えず刺激され、のどの違和感だけでなく頭痛、めまい、内臓の痛み、下痢・便秘などを引き起こします。また迷走神経を介して脳に炎症が波及し、うつや疼痛性障害のような精神症状をきたすことがあります。さらに脳から出る一部の静脈、リンパ管の流れが滞り脳のうっ血、浮腫が起こるとされます。長期的には免疫を介して、IgA腎症などの腎臓病、掌蹠膿疱症などの皮膚疾患、胸肋鎖骨過形成症(SCCH)などの骨病変をおこすこともあります。これらの症状を整理すると以下のようになります。
- 上咽頭の局所症状
- 咽頭違和感(張り付き感、閉塞感)、後鼻漏、痰、鼻閉、口呼吸、耳下部圧痛、耳閉感、耳管開放症、咽頭痛、頚部リンパ節腫脹、微熱、口臭
- ブラキシズム
- 噛みしめ、歯ぎしり、歯牙損傷、上顎下顎の骨隆起、側頭筋肥厚・繊維化、顎関節症
- 舌因神経・迷走神経の症状
- 消化器症状:過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、炎症性腸疾患、腹痛
- 呼吸器症状:咳、喘鳴、吃逆、咳喘息、慢性痰、血痰、過換気症候群、嗄声
- 循環器症状:起立性調節障害、動悸、不整脈、起床困難、不登校
- 三叉神経の症状
- 眼痛、片頭痛、舌痛症、非定型歯痛
- 副・舌下神経の症状
- 首こり、肩こり
- 目の症状
- 眼球症状、眼圧上昇、ぶどう膜炎、羞明、かすみ目
- 耳の症状
- 耳鳴、めまい、難聴
- 中枢神経症状
- 副腎疲労、睡眠障害(不眠・過眠)、記憶力低下、ブレインフォグ(集中力低下)、全身倦怠感、慢性疲労症候群
- 感覚変調
- むずむず脚症候群、線維筋痛症、痛覚変調性疼痛、疼痛性障害、嗅覚障害、幻臭、幻味、化学物質過敏症
- 精神症状
- うつ、パニック障害、不安障害
- 病巣疾患(炎症部位と離れたところに起こる病変)
- 胸肋鎖骨過形成症(SCCH)、反応性関節炎、非感染性骨髄炎、関節リウマチ、仙腸関節炎、掌蹠嚢疱症、SAPHO症候群、乾癬、慢性湿疹、アトピー性皮膚炎、慢性尋麻疹、IgA腎症/IgA血管炎、微小変化型ネフローゼ症候群、膜性腎症
慢性上咽頭炎と三叉神経・迷走神経
頭部顔面の痛みを伝える「三叉(さんさ)神経」や、内臓の痛みや動きをつかさどる「迷走(めいそう)神経」への影響が特に重要です。当科では、漢方・栄養療法と同時に、慢性上咽頭炎の治療(上咽頭擦過療法:EATなど)も並行して行う体制をとっています。
- 慢性上咽頭炎と三叉神経の関係
- 慢性上咽頭炎により三叉神経第二枝(上顎神経)、第三枝(下顎神経)が刺激され頭痛などの症状が起こります。

- 慢性上咽頭炎と迷走神経の関係
- 慢性上咽頭炎により迷走神経が刺激され、様々な内臓の不調が起こります。

慢性上咽頭炎を疑う症状
以下のような症状に心当たりがある場合、慢性上咽頭炎が潜んでいる可能性が高くなります。
- 口腔・顎(あご)のトラブル
- 歯ぎしり、噛みしめ
- 噛みしめ・歯ぎしりによる歯の損傷(歯科でのマウスピース推奨など)
- 上顎・下顎の骨の盛り上がり(骨隆起)

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- 顎(がく)関節症
- 耳下部圧痛

- のど・鼻の違和感
- 後鼻漏(鼻水がのどに落ちる不快感)
- 鼻の奥に痰が張り付いている感じ、鼻の奥の痛み
当科の治療で改善が期待できる主な疾患・症状
漢方・栄養療法・慢性上咽頭炎治療を組み合わせることで、以下のような多彩な症状・疾患に対応可能です。
1.原因の特定できない全身の不調
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- 筋痛性脳脊髄炎 / 慢性疲労症候群 (ME/CFS)、慢性的なだるさ・倦怠感
- 自律神経失調症、不眠症、不定愁訴
- 片頭痛、緊張型頭痛、気象病
- 起立性調節障害 (OD)(立ちくらみ、めまい、起床困難、朝の頭痛・腹痛、動悸)
- コロナ後遺症 / コロナワクチン後遺症(ブレインフォグ、慢性的な倦怠感など)
- 化学物質過敏症
2.口・のど・鼻・呼吸器の慢性トラブル
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- 感冒、感冒後の長引く咳、気管支喘息、咳喘息
- 歯ぎしり/噛みしめ(ブラキシズム)、顎関節症、非定型歯痛、舌痛症
- 慢性上咽頭炎
- 咽喉頭異常感症(ヒステリー球、のどのつかえ感)
- 後鼻漏(鼻水がのどに落ちる不快感)
- 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)、アレルギー性鼻炎 / 花粉症
3.胃腸・消化器系の慢性不調
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- 機能性ディスペプシア (FD)(胃もたれ、胃痛、早期満腹感)
- 過敏性腸症候群 (IBS)(緊張等に伴う慢性的な便秘・下痢・腹痛・内臓痛)
- 逆流性食道炎、慢性胃炎
4.女性特有の諸症状
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- 更年期障害(のぼせ、冷え、発汗、気分の揺らぎ)
- 月経前症候群 (PMS)、月経前不快気分障害 (PMDD)
- 生理痛、月経不順(過多月経、過小月経、無月経)
- 産後の不調、不妊症
- 末梢循環障害 / 冷え症、レイノー病、凍瘡(しもやけ)
5.皮膚・結合組織・骨関節の疾患、自己免疫疾患、アレルギー疾患
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- IgA腎症(血尿・蛋白尿)、掌蹠膿疱症 (PPP)、胸肋鎖骨過形成症 (SCCH)
- アトピー性皮膚炎、手湿疹、慢性じんましん、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛
- 関節リウマチ (RA)、SLE、慢性関節炎、間質性膀胱炎、橋本病、バセドー病
- 筋痙攣(こむら返り)、むちうち後遺症、肩こり
6.脳・メンタルの不調
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- 軽度のうつ状態、パニック障害、不安障害、疼痛性障害、線維筋痛症
- 脳機能障害 / ブレインフォグ(頭がボーッとして霧がかかったような状態)
7.小児の疾患
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- 夜泣き、夜驚、虚弱体質、チック、発達障害、学習障害
- 起床困難、不登校、反抗期、朝の頭痛・腹痛、引きこもり
- 成長痛、骨端症、側弯症、スポーツ障害
診療のご案内
当科では、独自の視点から症状改善の選択肢を提案しています。診療のながれは以下のようになります。
①客観的な栄養状態の評価
- 採血検査に基づき栄養状態を細かく分析し生活指導を行います。
②慢性上咽頭炎の診断・治療
- 見落とされがちな「上咽頭の慢性炎症」の有無を確認し適切に対処します。
③体質に合わせた漢方薬の処方
- 東洋医学的診察に基づき、一人ひとりの体質に合った漢方薬、現代薬を処方します。
予約・お問い合わせについて
当科は、初診・再診ともに【完全予約制】です。お電話にてご予約をお願いいたします。また、診療内容に関する事前のお問い合わせは、メールでも受け付けしております。
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静岡市立清水病院 漢方外来受付
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静岡市立清水病院 漢方外来(担当:尾﨑正時)
ozaki@shimizuhospital.com

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