漢方外来

スタッフと専門領域
医師名 | 出身大学 | 医師免許取得年 | 専門領域・資格等 |
---|---|---|---|
![]() 尾崎正時 |
千葉大学 | 昭和58年 | ・医学博士 ・日本東洋医学会認定 漢方専門医 ・日本東洋医学会認定 日本東洋医学会指導医 ・日本東洋医学会代議員 ・日本東洋医学会東海支部幹事 ・日本東洋医学会東海支部 静岡県部会副会長 ・日本医学放射線学会認定 放射線治療専門医 ・日本医学放射線学会認定 日本医学放射線学会研修指導者 ・第一種放射線取扱主任者 |
目次
漢方の適応疾患
内科領域 | 小児科領域 | 精神科領域 |
産婦人科領域 | 外科領域 | 整形外科領域 |
耳鼻科領域 | 皮膚科領域 | 泌尿器科領域 |
歯科口腔外科領域 | 薬剤副作用の治療 |
内科領域
感冒、その他の急性感染症
漢方の独壇場です。寒熱、虚実、表裏の判定が重要です。現代医学には、この概念がないので風邪の治療ができません。体温に関係なく寒がっているのが寒証、暑がっているのが熱証です。体力がなく汗がでているのが虚証で、逆が実証です。脈が浮いているのが表証で沈んでいるのが裏証です。寒がっていて汗なく脈が浮いていれば、表寒実証のたとえば麻黄湯などを使います。汗があれば表寒虚証の桂枝湯となります。脈が沈んでいれば、裏証であり裏寒虚証の麻黄附子細辛湯、真武湯などとなります。暑がっている熱証の風邪であれば、銀翹散などの冷やす薬を使用します。
細菌感染には抗生剤を併用します。風邪のあとの咳などの症状にも漢方は有効です。感染症は低栄養で起こります。風邪引きやすい人と引きにくい人の差は栄養状態の差です。
喘息
根本的原因は気道粘膜の脆弱性です。低栄養のため粘膜細胞の密着結合(タイトジャンクション)が劣化し抗原が侵入しやすくなっています。栄養療法と補剤で気管支粘膜を立て直します。慢性上咽頭炎をしばしば合併しています。肺の感覚を脳に送る迷走神経が慢性上咽頭炎で刺激されると咳喘息になります。難治性の喘息には慢性上咽頭炎が関係すると考えています。
気管支拡張症、副鼻腔気管支症候群、非定型抗酸菌症
痰が出にくい体質が原因です。気管支の炎症を繰り返すうちに、気管支が拡張してしまい、さらに痰がだせなくなります。出せなかった痰は気管支内に貯留し乾燥して固まります。気管支の炎症も治りません。漢方的には燥熱です。気管支を潤して痰を出す薬を用います。
過敏性腸症候群、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎
消化管のコントロールがうまくいっていない状態です。しばしば慢性上咽頭炎が隠れています。慢性上咽頭炎により迷走神経が常に刺激されるために消化器症状が起こります。この場合、慢性上咽頭炎の治療をしないと症状はとれません。随証的漢方治療、慢性上咽頭炎の治療に栄養療法を併用します。
潰瘍性大腸炎、クローン病
腸の劣化した蛋白に反応している自己免疫疾患と考えます。蛋白不足が主因です。随証的漢方治療に水素、栄養療法を併用します。
高血圧
動脈壁の蛋白の劣化により動脈壁の弾性がなくなると血圧を上げないと臓器の血流量が保てなくなります。降圧薬で血圧をさげると脳の血流は低下します。結果として朦朧としたり倒れたりする危険があります。高齢者の交通事故の原因は降圧薬だともいわれています。同じように肝臓や腎臓の機能も低下します。また梗塞を起こしやすくなります。大切なことは血圧を下げることではなく、血管壁の弾力を取り戻して、血圧が低くても十分な血流が流れるようにすることです。栄養療法で劣化した血管壁の再生を促します。
現代人は精製塩の使用により重篤なマグネシウム不足、相対的カルシウム過剰になっています。カルシウムは細胞を興奮させ、血圧を上げ、不整脈を起こします。マグネシウムはこの逆で、血圧を下げ、不整脈を止めます。マグネシウムは天然のカルシウム拮抗薬といえます。十分なマグネシウム摂取で血管の緊張をとり血圧を下げ不整脈を防ぎます。
不整脈
心筋細胞内のマグネシウム不足が一因となっています。マグネシウムは細胞の興奮をおさえ、不整脈をとめます。上述のように現代人は重篤なマグネシウム不足です。栄養学的治療が必要です。随証的に漢方を併用します。
高脂血症
一番大切なことは、副作用の多いスタチン製剤を使わないことです。スタチンなどのHMG-CoA還元酵素阻害剤はからだを活性酸素から守っているCoQ10を低下させます。そのため放射線や抗癌剤の障害が強く出ます。また発癌しやすくなります。一番多い副作用は筋肉痛やしびれです。副作用は飲み始めてから数ヶ月から数年後に発現しますので、しばしば見落とされます。
動脈硬化の最大の原因は動脈壁の材料不足による劣化であり、通常は蛋白、鉄、ビタミンC不足でおきます。動脈壁にコレステロールが沈着しているからといって、栄養状態を改善せずにコレステロールをさげるのは本末転倒です。コレステロールは細胞に必要なものであり、肝臓で合成されLDLコレステロールにより末梢組織に送られます。加齢によりコレステロールが上がるのは、全身の細胞のコレステロールが劣化して、その補充のためにコレステロールが必要だからです。これを下げると体調不良となります。脳はコレステロールの需要が特に大きい臓器であり、コレステロールを下げると様々な症状がでます。スタチン服用者に列車飛び込み自殺が多いと言われますが当然のことと考えます。コレステロールを下げるにはコレステロールが劣化しないようにすればいいわけです。栄養療法で抗酸化酵素の活性を正常化し、必要な抗酸化物質をとることで低下します。ちなみに蛋白不足だとコレステロールを運ぶリポタンパクが作れないのでコレステロールは低くなります。こういうひとはコレステロールが低くても体調は悪いはずです。
膠原病、関節リウマチ、SLE
劣化した体蛋白を免疫系が異物と認識し攻撃している状態です。蛋白不足が原因です。女性に多いのはこのためです。体蛋白の更新のために十分な栄養が必要です。症状緩和のために用いられる現代薬では、副作用が問題となります。漢方や水素で炎症をおさえて、栄養療法で体蛋白の更新を図ります。
アレルギー疾患、花粉症
根本的原因は皮膚・粘膜のバリア機能の低下です。低栄養のため粘膜細胞の密着結合(タイトジャンクション)が劣化し抗原が侵入しやすくなっています。栄養療法と漢方で皮膚・粘膜を立てなおします。背景に慢性上咽頭炎があると病態が複雑で難治です。
橋本病、バセドー病
変性した甲状腺の蛋白を免疫系が攻撃している状態です。蛋白不足が原因です。女性に多いのはこのためです。栄養療法で甲状腺蛋白の更新を図ります。
糖尿病
高血糖は血管を傷害しますが、実はインシュリンも血管毒性があります。糖質制限で高血糖を避けつつ、インスリンやインスリンを分泌させる薬剤を避けることが望まれます。高血糖による障害を回復させるために栄養療法が有効です。
腎機能低下
腎機能がさがったときに蛋白制限は逆効果です。腎の再生のためには材料すなわち十分な蛋白摂取が必要です。漢方では養腎降濁湯、オウギ末などが有効とされます。過度の薬物使用や慢性上咽頭炎も腎機能をさげるので注意が必要です。若年者の腎機能低下は、慢性上咽頭炎によるものが多いと考えています。慢性上咽頭炎治療で腎機能の回復が可能です。
認知症、パーキンソン病
脳の糖尿病と考えています。実は、脳は脂肪(ケトン体)を栄養源としたほうが調子がよくなるのです。認知症は、長年糖分のみを栄養としていた結果、脳がタメージを受けてしまった状態です。糖質制限、ケトジェニックな食事、グルタチオン点滴、水素、栄養療法などで改善します。
片頭痛
一番多いのは気圧変化による頭痛です。アクアポリン(水チャンネル)の劣化によります。五苓散などの利水剤を用います。他に局所的血圧の異常、冷え、肩こり、首こり、頚椎の異常から来る頭痛もあります。他にもいろいろな原因で頭痛がおこります。栄養不良と慢性上咽頭炎を高率に合併しています。漢方、栄養療法、慢性上咽頭炎治療で治癒します。
化学物質過敏症
低栄養で解毒酵素の活性が下がると、外部から体内に入ってくる化学物質、薬物の分解ができなくなり、苦しむことになります。栄養療法で解毒機能があがると改善します。これとは異なり通常は不快に感じない臭いや音、電磁波が不快でたまらないこともあります。これは解毒能の低下ではなく脳の情報処理の異常です。痛覚変調性疼痛に似ています。通常は低栄養により起こります。女性に多く見られます。慢性上咽頭炎が隠れている場合があり注意が必要です。
不定愁訴
現代医学で不定愁訴とされる症状は一定の類型を持ち、大昔から存在していました。現代医学的には説明できないというだけで伝統医学的には解釈可能で、症状別に対応する方剤が存在します。鉄蛋白不足による脳のエネルギー(ATP)不足か慢性上咽頭炎が原因なことがほとんどです。
しもやけ、冷え症、レイノー病
ミトコンドリア機能低下による熱産生不足に血流コントロールの異常が伴った状態と考えます。熱産生を増やし、血流を調節します。栄養療法でミトコンドリア機能を改善し、手足の血流を増やす漢方を用います。ビタミンE、ナイアシンなどの血流を増やすサプリも有効です。
小児科領域
小児疾患のかなりの部分は、胎児期、小児期の低栄養が原因です。小児は成長するために常に大量の栄養を必要としています。このため小児は常に低栄養状態にあるといえます。この状態は成人になるまで続きます。一時的に栄養を与えると、それが引き金となって身長が伸びて、そのために栄養が使われてしまい、かえって症状が悪化することもあります。身長の伸びとともに出た症状は、ほぼすべて鉄蛋白不足が原因です。
消化器の弱い子は、必要量の蛋白を摂取できません。一般に出生体重が3000g以下の小児は消化器が弱いとされます。十分な観察と栄養投与が必要です。
採血すると子供と母親のデータがそっくりなことがほとんどです。胎生期に栄養のセットアップ値が決まっている可能性があります。低栄養の母親から低栄養の子が生まれ似たような病気になるという、一見遺伝性に見える負の連鎖が見られます。栄養療法で母子ともに治療することが望まれます。
母胎の栄養状態で子供も健康はほぼ決まってしまいます。栄養状態良好な母胎から生まれた子供は一生あまり病気せずに暮らし、パワフルなひとになります。そうでないと病気がちになり、いろいろと苦労します。ですから若い女性には特に栄養に気を配って欲しいのです。
夜驚、夜なき
現代薬を避けることが望まれます。通常、甘麦大棗湯、抑肝散を用います。母親も同じ薬を飲むと効果が上がります。これを母子同服といいます。不機嫌な乳児は胎内での栄養状態に問題があります。母親が栄養療法をしていると、ほがらかな赤ちゃんになり育児に手がかかりません。
虚弱体質
消化管は胎生期の最後に完成する臓器です。このため出生体重3000g以下の低体重児は消化機能が弱くなりがちです。ひよわ=脾(消化器)弱であり、虚弱体質になりやすくなります。腸管粘膜のバリアも弱く食物アレルギーが出やすくなります。この傾向は成人でも同じです。虚弱児は躯幹筋の緊張が低いため、体幹が不安定ですぐに横になろうとします。精神的には過緊張状態で、腹直筋がピンとはっていて異常にくすぐったがりです。原因は鉄蛋白不足です。胃腸を丈夫にする漢方を使用し、栄養を吸収しやすい形で与えます。
起床困難、起立性調節障害、不登校、うつ、イライラ、チック
鉄蛋白不足の症状が主体です。まずエネルギー不足で頭と体が働きません。その結果、イライラして反抗的になります。反抗期のイライラ、気分変調の原因は相対的栄養不足です。また視床下部下垂体副腎軸もやられますので副腎疲労で朝起きられません。消化管も弱いことが多く、しばしばリーキーガットのために食物アレルギーになっています。皮膚粘膜も弱く、アトピー、花粉症などのアレルギー性疾患を併発します。しばしば青色強膜(白目が青味がかっている)を認めます。
青色強膜(白目が青みがかっている)
小児は常に相対的低栄養状態なので、大人より鉄蛋白不足の症状が出やすくなります。身長が伸びたときに悪化するのが特徴です。1-2cmの伸びでも症状は悪化します。常に身長と体重をモニターすることが望まれます。
まずは鉄蛋白を補充することが必要ですが、すでに胃腸が弱っている場合にはうまく吸収できません。食事だけでは対応できないことが多く、プロテイン、アミノ酸、消化剤、サプリメント、漢方の併用を考慮します。慢性上咽頭炎を合併していることが多々あります。後鼻漏、のどに痰が張り付いている感じがあれば精査が必要です。慢性上咽頭炎を放置した状態では、どのような治療も無効です。
発達障害、学習障害
遺伝、環境汚染、ワクチンなどの影響はあると思いますが、受診される方はほぼ全員重度の鉄蛋白不足です。身長の伸びとともに出現した症状は、鉄蛋白不足が原因です。栄養療法、漢方が有効です。
精神科領域
うつ、気分障害、神経症性障害、発達障害、人格障害
遺伝的要因、社会的要因は当然ありますが、栄養異常によるものが注目されています。特に蛋白不足、鉄不足、亜鉛不足、マグネシウム不足、ビタミンB群不足、ビタミンD不足が多いとされます。経験的には鉄蛋白不足が大部分を占めます。血液検査を行い栄養療法行います。つらい症状があれば漢方で対処します。現代薬の併用は問題ありません。慢性上咽頭炎が隠れている場合があり注意が必要です。慢性上咽頭炎があると多彩な自律神経症状を来します。また慢性上咽頭炎による迷走神経刺激そのものが精神障害を来すともいわれています。
身体表現性障害、疼痛性障害、線維筋痛症
明らかな病変がないのに痛みやしびれなどを感じる場合、脊髄以下の神経が障害されているか感覚情報の処理をする脳の異常のどちらかです。神経が障害されている場合、そのほとんどは薬害です。原因となる薬物を同定する必要があります。感覚情報処理の異常は、痛覚変調性疼痛を含みます。ほとんどが栄養障害です。栄養療法と随証的漢方で改善します。慢性上咽頭炎が隠れている場合あり注意が必要です。慢性上咽頭炎により三叉神経、舌咽神経、迷走神経が障害されると、頭部顔面口腔の痛み、喉から大腸までの内臓の知覚異常と運動異常が起こります。これらの症状を精神疾患によるものと誤診している可能性がありますので注意が必要です。
不眠症
不眠は漢方的にみると複数の症状のひとつに過ぎないことがほとんどです。随証的漢方、CBDオイルで改善します。
産婦人科領域
血の道症、更年期障害、PMS、月経困難症、月経不順、過多月経、過小月経、産後の不調、不妊症
血の道症という病名があります。漢方からきた病名です。「月経、妊娠、出産、産後、更年期などの女性のホルモンの変動による不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のこと」とされています。血の道症に対する漢方方剤は多数存在し、それなりに有効です。栄養療法では血の道症の原因はホルモンの変動とは関係なく、鉄蛋白不足だといわれています。月経、出産をくりかえしているうちに鉄蛋白不足になり体調を崩す。これがすなわち血の道症です。漢方で症状はある程度とれますが、鉄蛋白を補充しないと本質的解決にはなりません。栄養療法と随証的漢方で改善します。毎月排卵するということは体にとっては大きな負担です。出産を望まないのであれば、婦人科で月経を止めると改善します。ただし蛋白不足の方は薬害がでやすいので注意が必要です。しばしば慢性上咽頭炎が隠れています。この場合、慢性上咽頭炎を治療しないと治癒は望めませんので注意が必要です。
外科領域
ケロイド、不良肉芽
皮膚が傷ついて切り離されると、切断部分に肉芽をつくり皮膚を接着させます。この肉芽を構成するのは主にはコラーゲンです。コラーゲンをつくるのには蛋白、鉄、ビタミンCその他が必要で、足りないと傷のつきが悪くなり、傷が盛り上がってケロイドになります。古い傷においても常に古くなったコラーゲンを新しいものに更新しています。蛋白不足で新しいコラーゲンが作れないと古い傷が開いてしまいます。手術で術創をきれいに付けるには蛋白、鉄が重要です。
動脈瘤、静脈瘤
低栄養だと血管壁のコラーゲン等の蛋白の更新がおくれ血管壁が劣化すると、血管が脆くなり出血しやすくなり青あざができます。また血管の内圧に負けて血管壁が膨らんでしまうと、動脈瘤、静脈瘤になります。栄養療法に漢方を併用します。
四肢循環障害、ASO(閉塞性動脈硬化症)
動脈硬化などで動脈側の流れが悪いときは四物湯系の方剤の適応、静脈側の流れが悪いときは駆瘀血剤の適応とされます。
整形外科領域
加齢による変化、変形性関節症、骨関節症、骨粗鬆症、五十肩、ヘバーデン結節、ばね指
加齢により起こってくる疾患は栄養障害です。骨、関節、軟部組織を構成する蛋白は徐々に劣化していきます。劣化した蛋白は新しくする必要があるのですが、栄養不足ではそれができません。結果、徐々に骨・関節の破壊が進みます。これが骨関節症です。骨が劣化したとき、必要なのはカルシウム以前に蛋白、鉄、ビタミンCです。薬剤で骨にカルシウムを沈着させても骨の強化にはなりません。十分な栄養で引っ張り強度のある骨・靱帯を再建することが必要です。症状をとる漢方を用いながら栄養療法を行います。
筋痙攣、こむら返り
血管壁や筋肉細胞内のマグネシウム不足で起こります。筋肉細胞が興奮すると痙攣がおこります。筋肉に行く血管壁の細胞が興奮すると血管が攣縮し血が流れなくなり筋肉が痙攣します。マグネシウム投与で改善します。マグネシウムは細胞を興奮しにくくします。カルシウムはマグネシウムの逆の働きをします。骨粗鬆症などでカルシウムや活性型ビタミンDをとっている場合はやめてもらいます。随証的に漢方を併用します。
側弯症、成長痛、骨端症、スポーツ障害、大腿骨頭すべり症、先天性股関節脱臼などの成長期に起こる異常
こどもの運動器疾患は栄養障害が背景にあります。成長の過程では、どんなに栄養を摂取していても常に相対的低栄養状態になっています。蛋白の必要量は成人の倍とされます。漢方その他で除痛しつつ、十分な蛋白、鉄を与えます。
むちうち後遺症
治打撲一方合葛根加朮附湯が標準治療とされています。閉経前女性に多く、鉄蛋白不足を伴っています。外傷により損傷した組織が修復されない状態です。コラーゲンの劣化と更新不足が背景にあります。適切な栄養療法の併用が必要です。
耳鼻科領域
慢性上咽頭炎
インフルエンザの検査では鼻から棒をいれて喉の奥を調べます。その際、棒の先が当たる部分が上咽頭の咽頭扁桃というところです。風邪のウイルスが最初に付着する部位です。この部分が慢性炎症を起こすことがあります。咽頭違和感、後鼻漏、肩こり、頭痛などの症状がでます。また上咽頭は頭蓋の底にあり、脳神経、動静脈、リンパ管がすぐそばを通っており、それらに変化が及ぶと様々な症状を来します。特に三叉神経、舌咽神経、迷走神経の症状が起こりやすいようです。損傷をうける脳神経とその症状について表にまとめました。
慢性上咽頭炎で症状をきたす脳神経
慢性上咽頭炎が長引くとIgA腎症や掌蹠膿疱症になります。また迷走神経を介して中枢神経症状、精神症状を来すとされます。慢性上咽頭炎で起こる症状、疾患を表にまとめました。
慢性上咽頭炎が関与しうる症状と疾患
上咽頭炎を疑う症状としては、後鼻漏、咽頭違和感(痰が張り付いている感じ)、耳下部の圧痛、歯ぎしり、かみしめ、歯牙損傷、骨隆起などがあります。耳下部の圧痛は下図の部位にでます。
骨隆起とは写真のような上顎の中央の盛り上がり、下顎の歯茎の内側のもりあがりのことです。
骨隆起
下の写真は慢性上咽頭炎の内視鏡写真です。上咽頭に発赤はなく、むしろ白くむくんで見えます。表面には粘液がはりついて糸を引いています(写真、上段)。この粘液が下に落ちると後鼻漏となります。綿棒でこすると容易に出血し(写真、下段)、血液、粘液、膿が綿棒に付着します。
慢性上咽頭炎の内視鏡所見
慢性上咽頭炎は漢方治療を希望される方に高率に存在します。漢方では、「怪病は痰」といいます。奇病は痰が原因だというのです。慢性上咽頭炎のかたは、しばしば「喉の奥に痰が張り付いている。」と訴えます。そしてその症状は上述の表のように極めて多彩です。まさに「奇怪な病」といえます。漢方でいう痰の病とは、慢性上咽頭炎のことだと考えています。
慢性上咽頭炎は上咽頭擦過療法(EAT)をすると治ります。薬剤による鼻うがい、漢方も有効です。血液検査をすると、ほぼ全員蛋白不足です。栄養療法が必要です。また治ってもしばしば再発するので注意が必要です。
詳細は下記のサイトを参照ください。
日本病巣疾患研究会HP 慢性上咽頭炎
https://jfir.jp/chronic-epipharyngitis/
漢方.jp特別講演会「所見の無い咽頭痛・後鼻漏は上咽頭炎を疑う!」竹越哲男先生
https://www.youtube.com/watch?v=hXCQzvY0We4&list=PLtTk6jwp4X9AyBPKFY-9IGlfbRaaI60Xk&index=2&t=1754s
コロナ後遺症、コロナワクチン副作用で慢性上咽頭炎になるケースが増えています。通常の慢性上咽頭炎より治りにくい傾向にあり、しばしば治療に難渋します。
皮膚科領域
アレルギー性皮膚炎、アトピー、手湿疹、慢性じんま疹
皮膚の炎症そのものを押さえるには、漢方でも現代薬でも構いません。問題はそのあとで、直ちに皮膚の再生を促す必要があります。漢方を使うのですが、それだけでは不十分で材料となる栄養を補充することが必要です。そもそも様々な抗原に皮膚が反応するのは、低栄養のため皮膚の細胞の密着結合(タイトジャンクション)が劣化して容易に抗原が侵入するためです。栄養療法の併用が望まれます。
帯状疱疹後神経痛
桂姜棗草黄辛附湯(桂枝湯+麻黄附子細辛湯)が有効とされますが、長期に続き難治化した例では附子の増量、他の方剤の併用が必要です。ちなみに帯状疱疹の急性期は漢方的には湿熱です。抗ウイルス薬に清熱利水剤、栄養療法を併用することで神経障害を防げます。そもそも帯状疱疹の発症自体が体力低下、気血両虚を意味します。
泌尿器科領域
慢性膀胱炎、間質性膀胱炎
漢方的には下焦(下半身)の湿熱として治療されることが多いのですが、必ずしもうまくいきません。慢性炎症の原因は低栄養です。間質性膀胱炎は、血管もふくめて膀胱が脆くなってしまった状態です。低栄養のなれの果てです。随証的漢方治療に栄養療法、水素の併用が有効です。
歯科口腔外科領域
歯ぎしり、かみしめ、顎関節症
なにかの弾みで歯ぎしり、かみしめが始まると、その結果、頭部が鬱血して頭痛、肩こり、めまいなどが起こります。それらがつらいので、また歯ぎしり、かみしめが起こります。あとは悪循環です。かみしめる力で顎関節、歯が破壊されます。硬口蓋、口腔底に骨隆起が発生します。通常、慢性上咽頭炎が背景にあります。慢性上咽頭炎治療と漢方で治癒します。
骨隆起
上顎神経、下顎神経など歯、舌にいく神経が慢性上咽頭炎で刺激されている状態です。慢性上咽頭炎治療、漢方で治癒します。
薬剤副作用の治療
薬剤による痛み、しびれなど
生活習慣病などで長期に薬剤を飲んでいる方に見られます。薬剤性の横紋筋融解症や末梢神経障害です。漢方はほぼ無効です。高脂血症に使われるスタチンによるものが目立ちます。薬害が出やすい方には、蛋白不足による解毒酵素の活性低下が存在します。また胃酸抑制剤を長期に使用すると鉄不足になり、医学的異常がない部位に痛みを訴えることがあります。痛覚変調性疼痛です。しばしば疼痛性障害と診断されます。血液検査をしないと分からないので要注意です。
抗癌剤の副作用対策
下痢、口内炎、手足症候群のような皮膚粘膜の障害が主に問題になります。漢方的には湿熱です。清熱利水剤を用います。多くは気血両虚≒鉄蛋白不足の患者に起こります。
コロナワクチン副作用
心臓、血管に対して毒性があり、心筋炎、脳梗塞、心筋梗塞、脳出血、血管炎、血栓症がおこります。免疫抑制により帯状疱疹がでたり発癌したり、癌が急に進行したりします。自己免疫疾患が悪化します。また様々な部位に炎症が起こります。多いのは慢性上咽頭炎です。通常の慢性上咽頭炎より治りにくい傾向にあります。詳細は、下記サイトを参照ください。
新型コロナワクチン副反応・後遺症の実態 ①臨床症状について
https://www.isom-japan.org/article/article_page?uid=C22Sq1652348266
新型コロナワクチン副反応・後遺症の実態 ②今後の課題とは
https://www.isom-japan.org/article/article_page?uid=DdY861660887089
ワクチン副反応・後遺症治療ー『後遺症治療研究会』『コロワク治療ナビ』のご紹介
https://isom-japan.org/article/article_page?uid=dhO5d1682651508