診療科・各部門について

放射線技術科

放射線技術科について

放射線技術科では、画像診断や放射線治療などの業務を行っています。
他部門との連携によるチーム医療や、積極的な装置の導入・平成21年の電子カルテ導入に伴った、画像・情報のネットワーク構築により、最適な画像を円滑に提供できるよう心掛けています。

当院では、地域連携(検査装置の共同利用)を行っており、院外の先生方からのご依頼による検査も受付けています。患者さまかかりつけ医師の依頼により、当院で画像診断を行い、病気の発見・診断に役立てます。検査した画像は、放射線診断医が報告書を作成しますので、患者さまは後日、かかりつけの医師より説明を受けていただきます。

造影検査同意書 
MRI造影剤についての説明書
MRI検査問診票
MRI検査説明文
ヨード造影剤についての説明書、同意書
ヨード造影剤検査問診票 
CT検査説明文

1階放射線技術科受付

診察券を入れる箱が用意してありますので、そこに診察券を入れていただき、行き先案内票(初診の方は診療科でお渡しします。再診の方は再診機に診察券を入れて受付をすると発行されます)はそのまま持ってお待ち下さい。順番に受付を行い、それぞれの検査場所にご案内致します。

地下階放射線技術科受付(核医学検査・放射線治療)

事務職員が窓口にいますので、診察券と行き先案内票をお渡し下さい。

 

 

 

一般撮影

一般撮影は、骨・筋肉・肺・臓器などをX線の透過する度合いによって黒と白の濃淡で画像を作り出す検査で、X線を発見したレントゲン博士にちなんで、レントゲン撮影とも呼ばれます。全身の骨・胸部・腹部などの状態を比較的簡便に観察することができるので、検査を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。

検査前の準備について

写真に写りこみ、診断に支障をきたすおそれがある場合には、検査衣に着替えていただいたり、ネックレスや貼り薬などを外していただくことがありますので、ご協力お願いします。
また、胎児への影響はほとんどありませんが、細心の注意をするため、妊娠中や、その可能性がある場合には、主治医や放射線技師にお知らせ下さい。

この検査は、正確な位置合わせが要求されるため、体に触れたり、角度を変えて何度か撮影することがあります。検査について不安やわからないことがありましたら、遠慮なく技師にご質問下さい。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査は、乳房を挟みながら圧迫して、上下方向から1枚、左右方向から1枚(合計2枚、両方の乳房の場合は合計4枚)撮影します。触ってわからないような早期の小さな乳がんや非常に細かい石灰化をみつけることができます。
一般撮影と異なり、専用の装置で撮影を行います。

 

 

 

撮影方法

マンモグラフィは乳房を挟みながらなるべくうすくなるように圧迫して撮影します。立体的な乳房がもれなく写し出されるために一方の乳房に対し標準撮影法として2方向撮影(CC、MLO)を行います。撮影してフィルムを確認するまでの検査時間はだいたい15分~20分となります。

CC撮影:乳房を上下方向から圧迫していきます。この撮影法は乳房の内側がよく観察できます。
MLO撮影:乳房を左右から圧迫して撮影します。乳腺組織全体を観察することができる撮影法です。

適正な撮影を行うために、マンモグラフィでは乳房を圧迫し、うすく伸ばしてしっかりと固定することが必要となります。
乳房を固定することにより動きによるボケを防止し、薄くのばすことによりはっきりとしたきれいな写真ができます。
また、圧迫してうすく伸ばすことにより、被ばく線量も低減することができます。乳房の厚さが1cm薄くなると線量は2分の1に減らすことができ、被ばく線量を減らすことからも圧迫は必ず必要となります。

CT検査

CTとは、Computed Tomographyの略でコンピュータ断層画像を意味します。
体の周囲からX線を高速回転で照射し、透過してきたX線をコンピュータで処理することにより画像を作ります。最近の装置では、短時間に細かいデータを得ることができるので、いろいろな断面の画像や3次元画像も作ることができ、診断や手術の補助に用いられています。

当院ではMDCTの2台の装置が稼働しています。2019年2月より導入されたGE社製Revolution Frontierは、X線検出器の効率が良くなり、より鮮明な画像が得られます。画像再構成法に新技術が用いられ、低線量撮影することにより増加するノイズを低減することができます。

CT検査には、大きく分けて「単純CT検査」と「造影CT検査」があります。造影CT検査は、造影剤という薬剤を静脈から注射または点滴しながら行う検査で、造影剤に含まれるヨードと呼ばれる成分が血液にそって体内に運ばれ、臓器等に取り込まれます。この取り込まれ方により、病気の種類や進み具合を調べたり、血管の観察を行ったりします。

検査前の準備

CT検査では、事前に食事制限がある場合があります。検査予約時に、食事制限について説明がありますので、ご注意下さい。なお、造影CT検査に関しましては、基本的に全例で事前食が絶食となりますのでご了承下さい。
※服用中のお薬がある場合等、検査の3~4時間前までに食事を摂っていただくこともありますので、検査予約時にお尋ね下さい。
また、検査部位によっては、検査衣に着替えていただいたり、金属類(ヘアピン・ピアス・入れ歯等)を外していただくことがありますのでご協力お願いします。

造影CT予約時の注意点

  • 気管支喘息の既往がある
  • 腎臓の機能が低下していると医師から言われたことがある
  • アレルギー体質である
  • 以前造影剤を使用して副作用症状があらわれたことがある

上記に該当する方は、造影剤による重篤な副作用が起こりやすいので、必ず医師に申し出てください。

造影剤の副作用

造影剤が体内に入ると急激に体が温かくなりますが、すぐに治まりますので心配は要りません。造影剤は、きわめて副作用の少ない薬ですが、まれに検査中や検査後に頭痛・吐き気・かゆみ・じんましん・くしゃみ・せき等の症状があらわれる場合がありますので、そのときは看護師や放射線技師にお知らせ下さい。また、万一帰宅後にこのような症状があらわれた場合には、下記までご連絡いただき、造影剤を使った検査を行った時間・症状をお伝え下さい。
なお、造影剤は通常24時間以内に尿から排出されるため、検査当日は水分を多めにとるようにお願いします。


ご不明な点は、お気軽にCT検査室までお問い合わせ下さい
054-336-1111(内線2311)

MRI検査

MRIとは、Magnetic Resonance Imageの略で磁気共鳴画像を意味します。
強力な磁場が発生している筒の中に体を入れて、電磁波を照射することによって、組織から放出されるMR信号をコンピュータで処理して画像にしたものです。放射線を使っていないので,X線撮影やCT検査と違って被ばくすることはありません。任意の断層像を容易に得ることができ,造影剤を使わずに血管の観察をすることができます。
当院では、シーメンス社製のmultichanel coilに対応した1.5T MRIが導入されています。multichanel coilを使用することにより、情報量の多い画像を比較的短時間で撮像することができます。
また、MRI対応ペースメーカー装着患者様のMRI検査が行えるようになりました。なお、この件についてのお問い合わせは循環器内科へお願いいたします。

MRI検査イメージ動画

検査前の準備

MRI検査の予約をするとき、下記に該当する場合は必ずお知らせ下さい。

  • ペースメーカーや人工内耳などの体内金属がある
  • 閉所恐怖症である
  • 妊娠の可能性がある
  • 体温調節機能の異常
  • 入墨やタトゥが入っている
  • 長時間同じ姿勢を保つことが困難である

場合によっては検査ができないことがあります。

検査が強力な磁場の中で行われるので、服や下着に金属がついている場合には着替えをしていただきます。また、アイシャドウやマスカラ等の化粧品・コンタクトレンズの中には磁性体を含んでいるのもがありますので、事前に取り除いていただく場合があります。
その他、眼鏡/補聴器/ピアス・イアリング/ネックレス/ヘアピン/腕時計/鍵/入れ歯/かつら/携帯電話/磁気カード/湿布薬/エレキバン/使い捨てカイロ等も持ち込めないので取り除いて下さい。

車椅子でお越しの場合は、MRI専用の車椅子にかえていただきます。

検査の流れ

検査室に入る前に、金属探知機を使用して最終チェックをします。
検査台に寝ていただき、目的とする部分をコイルと呼ばれるもので覆います。この検査は、体の動きに対して非常に弱く、動いてしまうと画像がボケてみれなくなってしまうことがあるので、検査中は動かないように心掛けて下さい。(検査時間は、15分~45分くらいです。)
また、検査中は、装置から大変大きな音がしますのでビックリしないようにお願いします。耳栓(検査部位によってはヘッドフォン)をしていただきますが、音は聞こえてしまいます。
基本的には検査が始まると動かないようにして寝ているだけで終わりますが、検査目的や部位によっては、呼吸を止める必要があったり、造影剤を使用するために静脈注射をしたりします。

MRIの造影剤

MRIの造影剤には、Gd(ガドリニウム)・Fe(鉄)・塩化マンガンを含んだものがあります。基本的に安全な薬剤とされていますが、まれに副作用を生じることがあります。中でも、重篤な腎障害のある患者様へのGd造影剤投与により、NSF(腎性全身性繊維症)といわれる皮膚に腫脹・硬化・収縮などの症状がみられる疾患が発症することがあるので注意が必要です。過去に腎臓の機能が低下していると言われたことがある方、喘息やアレルギー体質の方、妊婦・産婦・授乳婦の方は造影剤を使用できない場合がありますので、医師にその旨をお知らせ下さい。

検査中や検査後に頭痛・吐き気・かゆみ・じんましん・くしゃみ・せき等の症状があらわれた場合には、看護師や放射線技師にお知らせ下さい。また、万一帰宅後にこのような症状があらわれた場合には、下記までご連絡いただき、造影剤を使った検査を行った日時・症状をお伝え下さい。

ご不明な点は、お気軽にMRI検査室までお問い合わせ下さい
054-336-1111(内線2312)

血管造影検査

股関節付近にある大腿動脈(静脈)、あるいは腕の動脈(静脈)に針を刺し、そこからカテーテルと呼ばれる細い管を血管内に挿入し、選択的に特定の血管に造影剤を流して撮影する検査です。当院では、頭頚部、腹部四肢専用の血管撮影装置が導入されています。

頭頚部、腹部四肢専用の血管撮影装置では、様々な部位の血管造影検査を始め、脳動脈瘤の血管内手術、腹部腫瘍に直接抗がん剤を注入する治療、動脈硬化で細くなった血管に風船を使って拡張する治療なども行っています。

骨密度測定検査

当院の骨密度測定検査は、精度が高いといわれているDXA法(Dual Energy X-ray  Absorptiometry)を用いており、骨粗しょう症の診断、経過観察や治療効果の評価に広く用いられています。DXA法は、2種類のX線を目的の部位にあて、その透過率から骨密度を測定する方法で、主に腰椎や大腿骨の測定を行います。骨はタンパク質とカルシウム、リンなどのミネラルからできており、このミネラルが減ると、骨はスカスカになり骨折しやすくなります。女性は閉経期以後に骨形成を促進する要素の一部である女性ホルモン量が不足するため、骨密度が急速に低下するといわれているので、注意が必要です。
検査方法としては、検査部位(主に腰椎・股関節)に金属類がないように着替えを行い、検査台に仰向けで寝ます。担当技師が位置合わせを行い、X線により骨をスキャンしたら終了です。検査時間は、入室から約15分です。スキャンした骨のデータをコンピュータで解析して、右記のようなレポートを作成します。

 

超音波(エコー)検査

超音波検査は、人の耳には聞こえない高い周波数の音波を用いて体内の状態を調べる検査です。目的の臓器に超音波をあて、そこからの反射波をコンピュータ処理して画像化します。一般撮影や、CT検査と違い放射線を用いないので、被ばくの心配がなく装置も小型なので、比較的行いやすい検査です。
しかし、検査の特性上、技術の習得に時間がかかり、結果が技術者の能力に左右されやすいことや、超音波が透過できない空気や骨の影響をうけやすいという欠点もあります。

当院超音波装置(Canon Aplio i700)は2021年4月に導入されました。
当装置は腹部用コンベックスプローブにおいて、唯一マトリックスプローブを採用している装置であり、高画質な画像検査を提供できます。
また、音波の減衰を利用して肝臓の脂肪化(脂肪肝)を定量評価できる機能や、肝線維化(肝硬変)を評価する肝硬度測定(エラストグラフィー)ができるようになりました。両者を併せて評価することにより脂肪肝の病態把握やNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の拾い上げ、さらに経時的な病変の進展や改善などの評価に有用となります。

腹部エコー検査前は胆嚢を大きく観察する、消化管のガスによる影響を抑えるといった理由から基本的に空腹状態で行います。膀胱の観察も行う場合には、膀胱を大きくするために尿を溜めておくことが望ましいです。

検査は、寝台に寝て検査する部位の衣服をまくったりしていただきます。探触子と呼ばれる超音波を出したり反射波を受信したりする器具と皮膚との間に空気が入っていると、検査の妨げになるので、検査部位にゼリーを塗りながら行います。検査中は体を上向きや横向きにしたり,息を止めたりしながら検査を行います。

血管エコー検査は、血管の拡張・狭窄・蛇行などの走行状態、血管壁の性状、血流状態(流速・流量)を測定します。動脈硬化の程度が容易にわかるため、心筋梗塞や脳梗塞などのリスク判定などができます。

 

 

乳腺エコー検査は、乳腺の状態、乳腺内のしこりの精密検査、リンパ節腫大の有無などを調べます。特にマンモグラフィーではわかりにくい若年者の乳腺検査に有効です。また、被ばくの心配がないので、妊娠中の方でも安心して検査を受けることが出来る、圧迫する必要がないので痛みがないといったメリットもあります。しこりの硬さを測定することができるエラストグラフィも可能です。

胎児エコー検査は,胎児の推定体重を計測していきます。お母さんのお腹の中で動いている赤ちゃんをリアルタイムでみることが出来ます。

 

 

 

 

核医学検査

核医学検査は、RI検査と呼ばれることもあります。RIとはラジオアイソトープの略で、放射性同位元素(放射線を出す物質)を意味します。このRIと臓器、組織に対し特異的、局所的に集まる薬が混合した放射性医薬品を体内に投与して病気の有無を調べる検査です。

放射性医薬品が注射などにより体内にはいると特定の臓器(骨や、腫瘍など)に集積し、そこから放射線を発生します。これをガンマカメラと呼ばれる特殊なカメラによって体外より測定し、その分布を画像にします。これをシンチグラフィーといいます。体内の組織や臓器にRIが集まる様子を観察でき、病気の診断・病期や予後の確認・治療効果の判定などに有効です。

当院で行われている主なMRI検査

  • 脳血流シンチグラム…脳組織の血流分布を調べます。
  • 骨シンチグラム…骨の異常を調べます。
  • ガリウムシンチグラム…腫瘍や炎症の有無を調べます。
  • 甲状腺シンチグラム…甲状腺の異常や機能を調べます。

その他にも様々なシンチグラムがあります。

検査の内容

骨シンチグラム

撮像時間 40分前後
前処置 検査前に排尿:薬剤が尿として排泄されるため骨との重複を防ぐため
検査目的 骨転移及び骨腫瘍の検索など

ガリウムシンチグラム

撮像時間 40分前後
前処置 検査前に排便:薬剤が便として排泄されるため排便により腹部と重複を減らすため
検査目的 腫瘍及び炎症の検索、良性、悪性の鑑別

脳血流シンチグラム

撮像時間 50分前後
前処置 検査前安静
検査目的 脳内の血流分布の解析

 

検査における注意事項

  • 検査で使用する薬剤の関係上、検査をキャンセル、変更される場合は前日の14時までに電話をしてください。
  • 妊娠しておられる方、または妊娠している可能性のある方、および授乳中の方は、原則として放射性医薬品を投与しないことが望ましいので、必ず事前に申し出てください。
  • 撮像の際、ピアス、ネックレスなどの金属類は事前に外していただきます。
  • 撮像時間の比較的長い検査となりますので、最後まで動かないようお願い致します。

ご不明な点は、お気軽に核医学検査室までお問い合わせ下さい
054-336-1111(内線6045)

X線透視検査

X線透視検査は、X線を連続照射して人体を透視しながら行う検査です。
その他,X線透視検査では小腸・大腸,腎・膀胱,胆道系造影検査と内視鏡下透視検査なども行っています。


胃透視検査

検診で行うことが多いこの検査は、胃のポーリープや腫瘍などの病変を調べることができます。

検査内容

胃の粘膜を広げて伸ばすために発泡剤を飲みます。お腹が張ってきますが、ゲップをしないようにがんばって下さい。(ゲップをしてしまうとせっかく広がった胃の粘膜が縮んでしまい、病気の発見がしにくくなります。)次に、検査台にあがってバリウム(甘い香りがします)を飲みます。飲み終わったら、胃の粘膜全体にバリウムを付け、いろいろな方向から観察するために身体を右に向けたり、左に向けたり、回転したりして8枚ほど写真を撮っていきます。

検査後の注意

検査後は、バリウムが固まる前に早めに排泄したいので、たくさんの水分と処方された下剤をしっかりと飲んでください。

その他、X線透視検査では小腸・大腸・膀胱など様々な検査を行っています。

被ばく関係

人は、日常生活においても自然放射線によって被ばくしています。自然放射線による被ばくは、宇宙から降り注ぐ放射線や大地からの放射線(外部被ばく)と、呼吸や食物などによって体内に取り込まれた放射性物質や人体の構成元素にごくわずか存在するカリウム40・炭素14からの放射線(内部被ばく)があり、世界平均で約2.4mSvといわれています。

人体に放射線が当たると様々な影響が出ることは、放射線が発見されてまもなく経験的に明らかになってきました。その後、医療への放射線利用で障害が発生したり、原爆のデータが蓄積されるにしたがって定量的評価が可能となり、影響がでる具体的な線量がわかってきました。

放射線の標的はDNAで、これが攻撃されることにより発生する細胞死による確定的影響と突然変異による確率的影響に分類されます。人は、1000Gyの全身被ばくをすると、数時間のうちに死亡しますが、水1kgに1000Gyの放射線を照射しても温度上昇はたったの0.24℃程度で、物質に与えるエネルギーは非常に小さいものとなります。放射線により与えられるエネルギーは小さいものですが、標的がDNAであるため生物にとって大きな影響がでる可能性があります。

放射線関係でよくみかける単位

放射能 Bq
(ベクレル)
放射性物質の量 1秒間に1個の原子核が崩壊したとき1Bq
吸収線量 Gy
(グレイ)
放射線が物質と相互作用した結果、物質に吸収されたエネルギーの割合 放射線によって1kgの物質に1J(ジュール)のエネルギーが吸収されたとき1Gy
等価線量 Sv
(シーベルト)
放射線防護の観点から、放射線の人体に対する影響を考慮して定められている 組織・臓器における放射線の影響を、放射線の種類(X線やγ線など)を考慮して表している
実効線量 等価線量に組織・臓器の係数を掛けて、全身の放射線影響を表している

医療分野でよく使用されるX線・γ線・β線では、GyとSvはだいたい同じと考えて構いません。

被ばくには、外部被ばく・内部被ばくがあり、一般撮影・CT検査・透視検査・血管撮影・骨密度検査による被ばくが外部ひばくにあたり、核医学検査による被ばくが内部被ばくになります

内部被ばく 体内に取り込まれた放射性物質による被ばくで、放射性物質が体外に排泄されるか、放射能が弱くなるまで被ばくする
外部被ばく 体の外からの放射線による被ばくで、放射線があたっている間被ばくする

確率的影響と確定的影響

確率的影響とは、突然変異による影響で発がんや遺伝的影響をいいます。被ばく線量と発症の確率が比例すると仮定しており、少しでも被ばくすれば影響が発生する可能性があるという考え方です。しかし、疫学調査では50~200mSv以下の線量では統計学的有意差は認められておらず、この程度の被ばくでは心配ないとされています。

確定的影響とは、細胞死による影響で射線の被ばく量がある線量(しきい線量)を超えたときに現れる影響で、発がん・遺伝的影響以外(脱毛や皮膚障害など)をいいます。確定的影響は、しきい線量を超えなければ影響は現れないが、しきい線量を超えると、被ばくしたすべての人に影響が現れ、被ばく線量が大きくなるにしたがって影響の程度も大きくなります。このため、被ばく線量は、しきい線量以下になるように管理する必要があります。

被ばくからの回復

放射線の生物作用の主なターゲットは生命現象の全てを持つDNAです。DNAには、損傷からの自己修復機能があるため、損傷が完全に修復されれば放射線による影響が出ることはありません。しかし、修復出来なかったり、修復のエラーが起こると突然変異となり、発がん因子のひとつとなります。放射線治療では、この回復作用を利用して正常細胞へのダメージを抑えながら腫瘍に多くの放射線を照射しています。

このように様々な影響をもたらす放射線から身を守り、有効に利用するために必要な放射線防護の基本的な考え方は、国際放射線防護委員会(ICRP)が下記のような勧告として示しています。

正当化 いかなる行為も、その導入が正味でプラスの利益を生むものでなければ採用してはならない
線量限度 医療被ばくを除く、すべての計画被ばく状況では個人の被ばくは線量限度を超えてはならない

医療被ばくには、線量限度が適用されない(医療行為による利益が大きい)ので正当化や最適化が重要になります。最適化の目標線量として、社団法人日本放射線技師会より「医療被ばくガイドライン2006」が作成されているので、当院での一般撮影・CTにおける推定被ばく線量と共に示します。一般撮影に関しては、国際原子力機関(IAEA)が提唱しているガイダンスレベルも合わせて表示しますが、比較すると社団法人日本放射線技師会の医療被ばくガイドラインが大変厳しい値になっていることがわかります。
※放射線量は、装置や個人で差があるので平均的に患者様が受ける線量となります。

当院での一般撮影・CT検査による推定被ばく線量(参考値)

入社表面線量(mGy) IAEAガイダンスレベル 日本放射線技師会ガイドライン 当院
頭部(正面) 5 3 0.12
胸部 0.4 0.3 0.01
腹部 10 3 0.12
腰椎(正面) 10 5 0.07
骨盤 10 3 0.11
CTDIvol(mGy) 日本放射線技師会ガイドライン 当院
頭部 65 64.4
体幹部 20 15.1

※一般撮影の被ばく線量はNDD法、CTはCTDIvolによる値で無作為抽出データ10件の平均です。

われわれ放射線技師は、医療被ばくを出来る限り減らし、最適化を責任持って実践するよう心がけております。ご不明な点は、お気軽に放射線技術科までお問い合わせ下さい
054-336-1111(内線2301)