診療科・各部門について

循環器内科

スタッフと専門領域

医師名 出身大学 医師免許取得年 専門領域・資格等
診療部長兼科長
大野篤行
中国医薬大学 平成13年 ・日本循環器学会認定 循環器専門医
・日本心血管インターベンション治療学会認定 認定医
・日本内科学会認定 認定内科医
・日本感染症学会認定ICD(インフェクションコントロールドクタ-)
・東京医科歯科大学医学部臨床准教授
科長
増村麻由美
東京医科歯科大学 平成22年 ・日本循環器学会認定 循環器専門医
・日本内科学会認定 認定内科医
・日本内科学会認定 総合内科専門医
・日本心臓リハビリテーション学会認定 心臓リハビリテーション指導士
・日本医師会認定 産業医
・日本医師会認定 健康スポーツ医
・Johns Hopkins University Master of Public Health
・東京医科歯科大学非常勤講師
・日本内科学会救急委員会認定 JMECC~RRS対応コース修了
医師
佐藤國芳
川崎医科大学 平成28年 ・日本内科学会認定 内科専門医
・日本循環器学会認定 循環器専門医

診療案内・外来表

はじめに

心臓を中心とした血液の循環は生命活動には無くてはならない機能であり生命の基本です。心臓は一定のリズムで正常に収縮し血液を送り出している間はその存在を自覚することはまずありません。しかしひとたびリズムに乱れが生じれば動悸を感じ、十分な血液を循環できなければ、疲労感、呼吸苦を自覚し、さらに重症化すれば生命を維持できなくなります。私達、“循環器内科”は食事や禁煙などの生活指導、薬剤、カテーテル治療などを駆使して循環器疾患の予防、治療、再発の防止を行っています。
私達は常に新しい知見と技術を取り入れ、患者さんが安心して治療にあたれるようにお手伝いさせていただきます。
当院では、心臓カテーテル診断および治療が必要な患者さんへの対応が可能です。また、診断の結果、手術などが必要となった場合は、近隣の対応病院と密に連携して、より良い医療を提供できるよう尽力しています。

主な対象疾患について

狭心症と心筋梗塞

狭心症は、心臓を形作っている筋肉(心筋)に十分な血液の供給がない(虚血)ために胸部不快感を自覚します。多くの場合、動脈硬化が進み心臓の血管(冠動脈)が細くなることにより生じます。冠動脈の狭窄に対してはカテーテル治療と内服治療を組み合わせることが有効です。一方、冠動脈が細くなっていなくても自律神経や血管反応の異常によって一過性に狭窄を生じる冠攣縮性狭心症という狭心症もあり、この場合は内服治療が効果的です。
血管の狭窄が進行し、心筋細胞の不可逆的な障害(心筋壊死・心筋梗塞)を伴うと心筋梗塞になります。ただし、狭心症がないのに突然心筋梗塞になることもあります。一見、狭窄のない冠動脈にも動脈硬化が進行し血管の内壁が障害されると、ある日突然血管の内壁が破綻し、そこに血の固まり(血栓)がつき、冠動脈が詰まって心筋梗塞が起きます。
狭心症の中でも、今までの治療薬で症状のコントロールのつかなくなった、最近始まった、程度が強くなったなどの場合は心筋梗塞の危険が高い状態にあると思われ、早期の治療を検討する必要があります。また心筋梗塞となってしまった場合にも可及的速やかに再疎通を行えば心筋障害を最小限にすることができるため、当院あるいは近隣病院と連携して緊急治療にあたっています。
狭心症や心筋梗塞の予防には高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの動脈硬化の進行を加速する因子をコントロールすることが重要です。当院では糖尿内科の医師と共に治療を進めています。


高血圧

血圧が高ければ、高いほど脳卒中や心筋梗塞・心不全などの脳血管障害や心臓病になりやすくなります。その危険を減らすために血圧を下げる必要があります。しかしながら血圧は絶えず変動するものなので、正しく血圧を測定し、血圧を低下させる治療が必要であるか否かを診断し、適切な目標血圧の設定と手段を講じる必要があります。最適な血圧の値や治療薬については、ガイドラインに準じながら患者様の体質や病歴を十分に考えて適切な治療を行います。


動悸と不整脈

不整脈とは、脈が速くなったり、遅くなったりして正常な心拍を刻まない状態となることです。健康な方にも認める軽度のもあれば、緊急の治療を要する重篤なものまでさまざまな種類が存在します。脈の違和感がある場合には、まずどのような不整脈かを調べて治療の必要性を検討します。
日本で最も多い心房細動という不整脈は、無治療であれば心不全や脳梗塞といった重大な疾患を引き起こすことがあります。自覚症状がないこともあるため、発見しにくい不整脈の1つですが、当院は清水医師会、東京医科歯科大学との共同事業である「SPAFS(AIおよびリモートテクノロジーを用いた心房細動の早期発見により清水区を脳梗塞の少ないまちにする地域医療プロジェクト)」に参加しており、清水医師会健診センターと連携して心房細動の早期発見や治療にあたっています。心房細動が発見された場合は、内服治療や、心臓の状態に応じたカテーテルアブレーション治療、病状の進行に関係する因子のコントロールなどを行います。

(SPAFSに関するお問い合わせ:清水医師会健診センターSPAFS運営事務局 054-348-0515)


心不全

心不全とは、心臓の機能障害のために臓器が必要とする十分な血液を循環できない状態をいいます。その原因は前述の狭心症・心筋梗塞、高血圧、不整脈のほかに先天性心疾患、心臓弁膜症、ホルモンの異常など多岐にわたります。それらの複雑な原因を診断し、適切な治療を患者様の状態に合わせて行います。


睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)

睡眠中に何度も呼吸が止まった状態(無呼吸)や止まりかける状態(低呼吸)を繰り返す病気です。この病気のほとんどは、睡眠中に気道が閉じてしまう閉塞型というタイプで、多くの場合いびきを伴います。気がつかないうちに幾度となく目覚め、適切な睡眠がとれていないことで日中強い眠気を感じたり、無治療のまま放っておくと生活習慣病を招いたり、悪化させたりする恐れがあります。健康な生活を維持するためには、早期発見、早期治療が大切です。

検査について

外来検査

心電図(安静・運動負荷)
心臓の電気活動を記録する検査です。


トレッドミル運動負荷心電図、心肺運動負荷検査
心電図を取りながら運動する検査で、狭心症、運動により悪化する不整脈の診断、運動耐用能などを判定する検査です。


長時間心電図(24時間、7日間)
携帯型の心電図をつける検査で、その間の不整脈や狭心症の有無と自覚症状の対比を行います。24時間装着タイプと7日間装着タイプがあり、病状に応じて選択します。


心エコー(経胸壁・経食道)
超音波を用いて心臓の大きさ、形、動きを観察する検査です。心筋梗塞や心不全、弁膜症の診断に重要な検査です。心電図や胸部レントゲンで何らかの心臓の異常を指摘された場合の精査としても行います。


心筋シンチグラム
アイソトープ(放射性同位元素)を用いて、心臓の筋肉の血流を画像化する検査です。運動や特殊な薬剤により心臓に負荷をかけ、アイソトープを注射して、その後に心臓の画像を撮ることにより、心筋の血流障害(虚血)が評価でき、狭心症や心筋梗塞の治療方針の決定に重要な検査です。


冠動脈CT検査
冠動脈CT検査は、造影剤を投与して冠動脈の形状や狭窄の評価を行う検査です。心臓カテーテル検査と比べて低侵撃で、体への負担が少ない検査です。


簡易PSG検査
睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査です。携帯用の睡眠時無呼吸検査装置を貸し出し、自宅にて検査を行っていただきます。

専門治療について

①心臓カテーテル治療(経皮的冠動脈形成術、ステント留置術)
冠動脈の狭窄病変を風船(バルーン)やステントを用いて治療します。


②心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)
カテーテルを用いて心筋の一部を高周波で焼灼し、心房細動や頻脈性不整脈の根治治療を目指します。


③ペースメーカー移植術
徐脈性不整脈に対して対象となる場合はペースメーカー植え込み手術を行います。当院は遠隔モニタリングシステムに対応しており、治療後の患者様の通院を減らし、安全に日常をすごしていただけるよう工夫しています。また、条件付きMRI対応型ペースメーカーが入っている患者様のMRI撮影に関する施設認定も取得しております。


④植込み型心電計移植術
原因不明の繰り返す失神や、原因不明の脳梗塞において、原因となる不整脈が心臓にあるかを調べるための記録計を体内に入れる手術です。判明した原因に応じて、以後の治療を提供します。