診療科・各部門について

スタッフと専門領域

医師名 出身大学 医師免許取得年 専門領域・資格等

科長
尾崎正時
千葉大学 昭和58年 ・医学博士
・日本医学放射線学会放射線治療専門医
・漢方専門医
・第一種放射線取扱主任者
・静岡県立大学客員教授
・放射線治療・定位放射線治療
非常勤医師
大西 洋
山梨大学医学部
放射線科教授
  ・日本医学放射線学会放射線治療専門医
・放射線治療・定位放射線治療

診療放射線技師 4名

取得資格内容

放射線治療専門放射線技師 3名
放射線治療品質管理士 3名
医学物理士 3名
第一種放射線取扱主任者 2名

はじめに

放射線治療は手術、化学療法(抗がん剤による治療)とならぶ癌に対する治療の三本柱のひとつです。手術より患者さんへの身体的負担が少なく、しかも機能・形態の温存が可能です。また化学療法と同時に行うことで、より高い治療効果を得ることができます。

特徴・特色

写真は当院の放射線治療装置です。治療計画用CTと放射線治療装置(リニアック)を互いに向かい合うように配置し、寝台を共有させたCT一体型リニアックです。患者を寝台に寝かせてCTを撮影した後、寝台を180度回転させてXYZ方向に寝台を移動させることで、CT上の任意の点を照射中心とすることができます。この間、患者は寝たままで動くことがないので、従来の治療装置より正確な照射、複雑な照射が可能です。この装置を用いると、定位放射線治療、画像誘導放射線治療が容易かつ正確に行えます。当院では、呼吸性移動対策として、息止め法を用いています。また放射線障害予防のため多分割照射を積極的に行っています。当科医師は漢方専門医でもあり、放射線治療の副作用の予防・治療、治療後の体調不良等に対し漢方治療を行っています。

定位放射線治療(SRT stereothactic radiotherapy)について

定位放射線治療とは、定位すなわち「高精度に位置を定めた」放射線治療で、ピンポイント照射ともいわれる治療法です。現在は、脳腫瘍、早期肺癌、肝腫瘍に主に行なわれています。なかでも早期肺癌に対する定位照射は特に有効です。径5cm以下でリンパ節転移のない早期肺癌に対して行われます。治療成績は手術と同程度です。体の負担がほとんどないので、高齢者や手術困難な方、手術を拒否される方に対して行われています。写真(1)、(2)、(3)は、治療時の照射方向と線量分布です。病変部のみに線量が集中しているのがわかります。
肺癌ですと、3,4回の息止め練習の後に、一回30分程度の治療を4回行います。治療は通院で行えます。治療期間は通常2週間前後です。定位放射線治療は、山梨大学医学部放射線科の大西洋教授の指導のもとに行っています。

画像誘導放射線治療(IGRT image guided radiotherapy)について

画像誘導放射線治療とはX線透視やCTで、病変や臓器のずれを補正したのちに照射する治療法です。従来は皮膚に書いたマークで、照射する位置を決めていました。しかし皮膚に書いたマークは、ちょっとした手足の位置の違いや皮膚のたるみで動いてしまい、照射野のずれが起こります。また皮膚のマークが動かなくても、心拍・呼吸、嚥下・腸管蠕動、腸管・膀胱の内容量の変化などで病変の位置や臓器の位置関係は照射毎に異なります。上述のようにCT一体型リニアックでは、照射直前にCTで病変の位置、臓器の位置が確認できますので、容易に画像誘導放射線治療が行えます。特に前立腺などの小さな臓器に照射するときに、照射毎のずれの影響が大きくなります。前立腺は直腸内容、膀胱内容により、容易に位置が変わります。前立腺癌で前立腺だけを選択的に照射する場合には、毎回前立腺の位置を確認し、ずれを補正して照射することが望まれます。

呼吸性移動対策について

胸腹部の臓器は、呼吸により常に動いています。これを呼吸性移動といいます。胸腹部の病変に照射するときには、呼吸性移動が常に問題となります。対策としては様々な方法がありますが、当科では息止め法を用いています。患者に息を止めてもらい、息が止まっているときにだけ照射する方法です。治療時間は若干長くなりますが、高精度で障害の少ない治療が可能となります。

多分割照射について

通常の照射は一日一回週5回ですが、これを一日二回週10回の多分割照射にすると放射線障害が軽減できます。障害が少ないので、より多く照射することができ治療効果も上がります。当院では多分割照射を積極的に用いています。

漢方治療について

当科医師は漢方専門医でもあり、放射線治療の副作用の予防・治療、治療後の体力回復に漢方治療を行っています。
漢方的に異常のあるかたには、放射線の副作用が出やすい傾向があります。治療前に漢方医学的に診察し、放射線の副作用が出やすそうな方には適切な漢方薬を投与することで、副作用を予防・軽減できます。漢方薬は、補気剤、補血剤、補腎剤、駆瘀血剤を主に使用します。
頭頚部癌、肺癌、食道癌では、放射線口内炎・食道炎が問題になります。発症した場合には、清熱利水剤といわれる漢方薬を組み合わせて治療します。越婢加朮湯、茵蔯五苓散、茵蔯藁湯、竜胆瀉肝湯、猪苓湯、桔梗石膏などを主に使用します。化学療法併用例では、さらに半夏瀉心湯、黄連解毒湯などの芩連剤といわれる漢方薬を併用します。
骨盤部の放射線治療で問題になる下痢に対しては、五苓散を使用します。この場合、放射線の量にもよりますが通常量では無効なこともあり、症状にあわせて充分な量を使用することが重要です。
前立腺、膀胱への照射により膀胱炎・尿道炎様症状がでることがあります。竜胆瀉肝湯もしくは猪苓湯に芍薬甘草湯を併用します。
照射後に悪心嘔吐、倦怠感、眠気が出現することがあります(放射線宿酔)。悪心嘔吐は現代薬で対応できますが、倦怠感、眠気は現代医学では対処できません。放射線宿酔も、漢方的に異常のあるかたに出やすい傾向があります。補剤を中心とした随証治療が有効です。
癌の治療後には、食欲低下、倦怠感など、さまざまな不快な症状が起こることがあります。現代薬は無効なことが多く、しばしば漢方薬が著効します。適切な漢方治療を行うことで、体力を回復させることが可能です。
胸部の放射線治療後しばらくして乾性咳嗽が出現することがあります(放射線肺臓炎)。麦門冬湯が有効です。抗ヒスタミン剤を併用するとより効果的です。効果が弱ければ、白虎加人参湯、滋陰降火湯を追加します。照射後の口内乾燥にも、この三剤は有効です。

ストロンチウム89(メタストロン注)による骨転移の治療

ストロンチウム89を使用した骨転移の治療も行っています。ストロンチウム89を注射すると癌の骨転位に集積し、ベータ線という飛程の短い放射線がでて癌の骨転移を治療することができます。治療は外来で注射を一回するだけです。体外に放射線が出ることはないので、周囲の人が被曝することはありません。主に前立腺癌、乳癌の骨転移に使用されます。

塩化ラジウム223(ゾーフィゴ注)による前立腺癌骨転移の治療

塩化ラジウムを用いた治療も開始しました。去勢抵抗性の前立腺癌骨転移に使用されます。ラジウム223を注射すると前立腺癌の骨転位に集積し、アルファ線という飛程の短い放射線がでて前立腺癌の骨転移を治療することができます。通常4週おきに6回の注射を行います。やはり体外に放射線が出ることはないので、周囲の人が被曝することはありません。

放射線治療実績

原 発 部 位 2012 2013 2014 2015 2016
脳・脊髄 2 1 2 3 3
頭頸部(甲状腺を含む) 3 3 1 2 1
食道 2 3 1 5 4
肺・気管・縦隔
(うち肺)
(肺定位照射)
25
(21)
(9)
29
(29)
(13)
31
(31)
(17)
36
(35)
(26)
35
(35)
(12)
乳腺 44 25 31 30 34
肝・胆・膵
(肝定位照射)
3
(1)
6
(1)
10
(2)
10
(3)
4
(0)
胃・小腸・結腸・直腸 4 16 13 9 8
婦人科 4 3 2 6 2
泌尿器系
(うち前立腺)
36
(35)
29
(24)
19
(17)
27
(18)
17
(14)
造血器リンパ系 7 3 3 2 1
皮膚・骨・軟部 2 0 5 1 1
その他(悪性) 0 0 0 0 0
良性 2 2 0 0 1
15歳以下の小児例 0 0 0 0 0
合  計(人) 134 120 118 131 123
骨転移 4 12 12 14 20
脳転移 5 6 1 1 0

受診に際して

外来来受診は、原則として主治医の紹介を要します。 受診に関するお問い合わせ、ご質問がございましたら、放射線治療科受付に電話でお願いいたします。(放射線治療科受付・内線2050)
治療時間は9時から17時です。外来での治療は予約制で行っており、ご希望の時間を30分単位で指定できます。

主な医療機器

製品カテゴリ メーカー 商品名
リニアック 三菱医療用ライナック MHCL-15DP
CT (株)東芝メデイカルシステムズ TSX-021A/1A
治療計画装置 (株)日立メディコ Pinnacle
呼吸性移動対策 (株)エイペックスメディカル abuchesu

PAGE TOP