循環器内科 臼井綾香
心房細動は日本で最も多い不整脈の一つであり、重篤な脳梗塞や心不全の原因となるため非常に重要です。しかし、症状に乏しい場合もあり、なかなか発見が難しい不整脈でもあります。本日は、心房細動とは何か、そしてその予防と早期発見についてご紹介します。
●心房細動とは?
脈が正常ではない状態の総称である「不整脈」。実はいくつかの種類があります。最も患者数の多い不整脈の一つが「心房細動」で、日本全体で100万人以上の患者さんがいます。
不規則に脈打つことが心房細動の最大の特徴です。心房細動は心臓の中に血栓ができて脳梗塞を起こす原因となります。また、心臓の負担が大きくなり心不全を起こしやすくなります。早めに適切な治療を受けることが大切です。
症状:動悸(脈が飛ぶ感じ、早く打つ感じ、など)、めまい、胸痛など4割ほどの方は無症状ですが、症状がない場合でも脳梗塞や心不全のリスクは変わりません。
原因:最大の原因は加齢です。ほか、飲酒、喫煙、ストレス、運動不足によって発症しやすくなります。

●心房細動の治療
①脳梗塞予防 脳梗塞予防のため、抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)が必要です。
②症状改善 動悸やめまいなどの症状が強い方は、心房細動の根本治療となるカテーテルアブレーションという手術や、脈を整える抗不整脈薬の内服を行います。治療の選択肢は患者さんそれぞれの状態によって決まります。
③生活週間の改善 高血圧、糖尿病、脂質異常症などは心房細動を悪化させる原因となります。また、体重管理、運動習慣、節酒なども重要です。
●心房細動の早期発見
無症状の方の場合、病院を受診されないため発見しづらいです。また、心房細動は発作中の心電図記録がないと診断ができません。病状初期には発作の持続時間が短く、発見が難しいことがあります。
ご自身で時々手首の脈を確認していただく「検脈」の習慣や、スマートウォッチのような装着型心電計も心房細動の早期発見には有効です。スマートウォッチの記録はあくまでも診断をつけるための補助的な役割ですが、記録を外来へ持参いただければ医師が確認して確定診断に必要な検査を進めていくのに役立ちます。
●SPAFS(Stroke prevention by early detection of AF in Shimizu)の取り組みについて
前述のような「見つけづらい」という心房細動の特徴に対して、近年ではAI(人工知能)を用いて、これまで「正常」と思われていた非発作時の心電図から発作の出やすさを推測できるようになってきました。
当院は静岡市、清水医師会、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)との共同事業である「SPAFS(AIおよびリモートテクノロジーを用いた心房細動の早期発見により清水区を脳梗塞の少ないまちにする地域医療プロジェクト)」に協力しており、清水医師会健診センターと連携して心房細動の早期発見や治療にあたっています。初年度には362名にご協力いただき、全体の約3%で新規の心房細動が発見されました。AIにより心房細動の可能性が中等度以上と判断されたグループでは、可能性が最も低いと判断された人に比べて約9倍も多く心房細動が見つかっています。2026年8月現在、参加者は2万人を超え、地域ぐるみの新しい心房細動検出モデルとして、日本の医療の新しい形になる可能性が期待されます。なお、心房細動が発見された場合は、当院の外来で適切な治療をご案内いたします。
SPAFSの取り組みについての詳細は、当科ホームページをご覧ください。

●まとめ
心房細動は早期発見、早期治療が重要です。脈が早くなる、乱れるといった症状のある方は循環器内科にご相談ください。全く症状はないという場合にも、検脈やスマートウォッチ、健康診断の受診などでご自身の脈の樣子を定期的に確認するようにしましょう。

