読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

小児科 齊藤あむな

■はじめに
初夏になり、プールや水遊びの機会が増えると、子どもの肌にポツポツした小さな皮膚の盛り上がりができて心配されたことはありませんか?その正体、「水いぼ」の可能性があります!
水いぼは子どもによく見られる日常的な皮膚の病気ですが、治療方法やプールの利用有無など、ご家族の疑問は尽きないものです。これまでの水いぼの治療といえば専用のピンセットで摘み取る方法で、治療には強い痛みを伴っていました。そんな中、最近新しい治療の選択肢として登場したのが、「ワイキャンス®」という塗り薬です。今回は、水いぼの基本からこの新しいお薬の特徴や使い方についてお話します。

■水いぼってなに?
水いぼの正式名称は「伝染性軟属腫」といい、ポックスウイルスが皮膚に感染することで発症します。直径数ミリのツヤツヤした湿疹が体中にでき、基本的には痒みは伴いません。感染経路は肌と肌の直接的な接触のほか、タオルの共有、浮き輪などを介してうつることがあります。また、水いぼは自然に治る病気ですが、治るまでに数ヶ月から長い場合は年単位になります。そのため、自然に治るのを待つのか、治療をして早く治すかは、いぼの数や肌の状態に合わせて選ぶことになります。

■日常生活の気になる疑問
Q. 水いぼがあってもプールに入れるの?
プールの水ではうつりませんが、上述した通り、肌が触れ合ったり、タオルの共有でうつったりする可能性があります。そのため、水いぼがある部分をラッシュガードなどで覆うなどの対策をすれば大丈夫なことが多いです。但し、幼稚園や学校独自のルールが設けられていることもあり、その場合はそのルールに従って下さい。

Q. 家族と一緒にお風呂に入っても大丈夫?

プール同様、お風呂のお湯でうつることはありませんが、お風呂上がりに使うバスタオルやバスマットを共有すると感染の原因になるため、別々のものを用意しましょう。

■新しい治療薬「ワイキャンス®」について
痛みの少ない治療法として開発されたのが「ワイキャンス®」という塗り薬です。ワイキャンス®は水いぼのポツポツした部分にピンポイントで塗る薬です。薬の成分が皮膚に作用し、あえて小さな水ぶくれを作ります。これにより、ウイルスに感染した皮膚の組織が自然と剥がれ落ち、水いぼを退治するという仕組みです。

■注意点することはある?
治療にあたっては、いくつか重要なルールがあります。
①薬を塗った場所に赤み、痒みや軽い痛みが出ますが、これらは薬が正常に効いているサインです。塗ったその日は洗い流せないため、汗をかきやすい夏日は予めシャワーや入浴してから受診することをお勧めします。塗布から16~24時間後に、石鹸と水で優しく流します。洗い流すのを忘れて長時間放置すると、水ぶくれが深くなりすぎて痛みの原因になるため、時間を守ことが大切です。

②この治療は1回で全ての水いぼが消えるわけではありません。3週間に1回、病院で残っている水いぼに繰り返し塗布します。個人差はありますが、数回の治療でだんだんと数が減り、ゼロを目指していきます。

■最後に
水いぼは、命に関わるような重い病気ではありません。しかし、見た目が気になったり、周りに移してしまうのではないかと不安になったり、家族にとってもストレスの種になりやすいものです。痛みを和らげて積極的に治療する新しい選択肢が増えたことは、大きな進歩です。「水いぼの数が多くて困っている」「過去に痛い思いをして病院を怖がってしまう」というお悩みの方は、ぜひ気軽に当院へご相談下さい。お子さんの肌の状態やライフスタイルに合わせて、最適な治療法を一緒に考えていきましょう。