読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

腎臓内科 科長 江間智映実

■CKDとは
CKD (Chronic kidney disease):慢性腎臓病とは1つの病気の名前ではなく腎臓の働きが徐々に低下していく様々な腎臓病の総称です。初期のころは自覚症状がほとんどないため自覚症状で自分がCKDかどうかに気づくことはなかなか難しいです。それに加えて腎臓は大変デリケートな臓器で一度悪くなると完全には元に戻らないことが多いため注意が必要です。早期の段階で気づくには尿検査で異常があるかどうか、採血(Cr:クレアチニン、eGFR等の腎機能の項目)を確認することが必須となります。CKDは風邪のように完治するタイプの病気ではなく、病気とうまく付き合いながら進行を抑制していくのが治療目標になります。早期発見、適切な介入が肝となります。
現在、CKDの患者数は年々増加しています。日本ではCKDの患者数は1500-2000万人ほど、成人の5~8人に1人、70代では3人に1人、80代では2人に1人の割合と見積もられており決して珍しい病気ではありません。皆さんにとっても他人ごとではない病気なのです。
 
 
■CKDだと何が問題なの?
健康診断で検尿異常を指摘されたり、腎機能の数値が要精密検査だったりしたとしても自覚症状がない・困っていないからといって医療機関を受診せずに放置していませんか?異常をそのまま放置していると知らない間に腎不全が進行し、いよいよ症状が出現したときには末期腎不全まで進行してしまって血液透析などの腎代替療法を生涯にわたって継続することが必要になったり、命に関わる状態に陥ってしまったりすることが少なくありません。そればかりではなくCKDは脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる重症な病気を高率に合併することが知られているため、命を守るためにもまずはCKDの存在に気づき通院につなげることがとても重要となります。
■CKDに気づくためには?
まずは毎年健康診断を受けましょう。健康診断で検尿異常がある、腎機能の数値(Cr:クレアチニン、eGFR等)が要精密検査だった場合は、放置せずに医療機関を受診してください。CKDの背景には高血圧や糖尿病などの生活習慣病が隠れていることも少なくありません。これらを指摘されたことがあるものの、まだ医療機関を受診していない方は速やかに受診して現状を評価してもらうことが重要です。すでに通院中だけれども自分がCKDかどうかわからない方は主治医に聞いてみるとよいでしょう。
 腎臓内科では更なる精密検査を行いCKDの原因を見極めていきます。
その結果を踏まえて治療方針を検討し適切な治療を行っています。

■CKDを進行させないためにはどうすればよいの?
最近ではSGLT2阻害薬という腎臓を守る効果が期待される薬が使われるようになっています。医師が適応を判断し問題なく使用できる方は積極的にとりいれています。病気によっては専門治療が必要となる場合があります。そのほかCKDに共通して重要なことは食事での減塩、肥満がある方は減量、適度な運動、喫煙者は禁煙、良好な血圧管理、良好な血糖管理、良好な脂質管理などが挙げられます。このようにCKDは早期に発見し適切に介入することで、進行を抑制できる可能性があります。

■それでも腎不全が進行してしまったら
適切な治療にもかかわらず残念ながら体の寿命より先に腎臓の寿命が来てしまった場合、腎代替療法=腎臓の機能を肩代わりする治療を受けながら生活を続けている方も多くいます。腎代替療法には血液透析、腹膜透析、腎移植があります。ご高齢で衰弱が進んでいる方や重篤な合併症を抱えた方などにおいて腎代替療法を行うこと自体が負担となることが予想される場合や、ご自身の死生観から腎代替療法を選択しない場合などは腎代替療法を行わず症状緩和を中心に過ごし寿命を迎えるという選択肢もあります。どの治療を選択するとしても事前の意思決定が重要となります。
腎臓内科では適切なタイミングで多職種を交えて末期腎不全の療法選択についての情報提供を行い、患者さんにとって最良な選択ができるよう意思決定を支援するとともに心と体の準備を進めていきます。何も決められていない状態で末期腎不全に陥ってしまったときに「こんなはずではなかった」ということにならないようにあらかじめ治療方針に対する自分の考えをご家族の方と話し合い共有しておくことをお勧めします。
■最後に
CKDはサイレントキラーのごとく知らない間に我々の体を蝕む手強い病気です。気づくためにはまずは毎年の健康診断を受けましょう。そして健康診断で異常があっても「症状がないから大丈夫」ではなく、「症状がない今こそ受診が大切」です。腎臓が流す涙のSOSである検尿異常をどうか放置せず腎臓内科にご相談ください。