読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

呼吸器内科 長﨑公彦

■秋は喘息に注意が必要です
9月に入り、朝晩は少しずつ涼しくなってきました。過ごしやすい季節になる一方で、この時期は喘息の症状が悪化しやすい季節でもあります。昼夜の寒暖差や台風による気圧の変化、ハウスダスト、秋の花粉、風邪などが重なることで、咳や息苦しさが強くなることがあります。朝夕の咳や息苦しさ、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴がみられるようなら、喘息のサインかもしれません。
■喘息とはどんな病気?
喘息は、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こる病気です。炎症が続くことで気道が敏感になり、冷たい空気やハウスダスト、花粉、たばこの煙、運動、風邪などをきっかけに気道が狭くなります。その結果、息苦しさや朝夕の咳き込み、喘鳴などの症状が現れます。喘息は子どもの病気と思われがちですが、大人になってから発症することも珍しくありません。また、喘鳴や息苦しさを伴わず、乾いた咳だけが長期間続く「咳喘息」も増えています。「風邪が長引いているだけだろう」と考え、市販薬で様子を見続けてしまう方も少なくありません。
■吸入薬は正しく使うことが重要です
治療の基本は、吸入ステロイド薬によって気道の炎症を抑えることです。吸入ステロイド薬は薬を直接気道へ届けるため、少ない薬剤量で高い効果が期待でき、全身への影響が少ないことが特徴です。必要に応じて気管支拡張薬を組み合わせることで、発作を予防し、日常生活への支障を減らすことができます。吸入薬は正しい方法で使用しなければ十分な効果を発揮できません。外来でも吸入方法を確認すると、改善点が見つかる患者さんは少なくありません。当院では医師だけでなく、看護師や薬剤師とも連携し、一人ひとりに合わせた吸入指導を行っています。吸入薬を長く使用している方でも、定期的に吸入方法を確認することをおすすめします。
■症状がなくても治療を続けることが大切です
適切な治療を続けることで、多くの患者さんは普段どおりの生活を送ることができます。しかし、「症状がおさまったから治った」と思い込み、自己判断で治療を中断してしまう方もいらっしゃいます。症状が落ち着いていても、気道の炎症が残っていると重い発作につながることがあります。治療は焦らず継続し、薬を減らしたり中止したりする際には、必ず主治医と相談するようにしましょう。
■日頃の生活でできる喘息対策
発作を予防するためには、日頃の生活習慣も大切です。室内を清潔に保ち、ダニやほこりを減らすこと、禁煙すること、十分な睡眠をとること、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの感染予防を心がけることが大切です。症状が安定していれば適度な運動も勧められますので、主治医と相談しながら無理なく続けましょう。
■当院で行っている喘息の検査
当院では、診察に加えて、気道の炎症を評価する呼気一酸化窒素濃度(FeNO)測定や呼吸抵抗検査(呼吸の通りやすさを調べる検査)などを行い、総合的に診断しています。検査の結果、喘息ではなく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、肺がん、心不全など、ほかの病気が見つかることもあります。そのため、咳が2~3週間以上続く場合や、夜間・早朝に繰り返し症状が出る場合は、一度呼吸器内科で原因を調べることをおすすめします。
喘息は、正しく診断を受け、毎日の治療を継続することで十分にコントロールできる病気です。秋は症状が悪化しやすい季節ですが、適切な治療と日頃のセルフケアによって発作を防ぎ、これまでどおりの生活を送ることができます。
■気になる症状があれば、お早めにご相談ください
「最近、咳が長引いている」「息苦しさが気になる」「吸入薬を使っているのに十分改善しない」と感じることがあれば、一人で悩まず、お気軽に当院呼吸器内科へご相談ください。早めに原因を調べ、適切な治療につなげることが、健やかな毎日への第一歩になります。