読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

リハビリテーション科 科長 坂元隆一

当科では、術後や長期臥床後の食欲不振に対して「六君子湯(りっくんしとう)」を投与し、体力回復目的で「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、より虚証の方には、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」を選択し、感染を予防しつつ、順調にリハビリテーションが進むようにサポートしています。

「疲れ」というキーワードからは、人参と黄耆(おうぎ)を含む漢方薬(参耆剤(じんぎざい))が選択されます。その代表的な漢方薬が、補中益気湯、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯であり、脳卒中後で元気がない、気力がない、疲れやすく、耐久性がない方に投与すると、リハビリテーションが進むようになり、耐久性も向上することを多数経験します。膝痛に対しても、頻度の多い偽痛風には、防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)に越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)+附子末(ぶしまつ)を追加し、漢方薬の即効性を患者さん、ご家族から感謝されます。

 脳卒中後の高齢者は、まさに、フレイルであり、疲れやすい、だるいという状態でのリハビリテーションは、避けなければなりません。西洋医学では、病気としてなかなか認識されにくいもので、何となく疲労が続くという段階で、改善する必要があります。まずは、睡眠、栄養を十分に摂ることが大切です。不眠対策、低栄養対策を講じる必要があります。気虚(ききょ)とは、「気力」「栄養」「免疫」の低下を意味します。

 西洋医学的治療では、脳卒中後の疲労感を改善する治療法には限界があり、漢方薬、特に補中益気湯などの「補剤(ほざい)」の適応となります。

 補中益気湯は、中(ちゅう:消化吸収能という意味)を補って、気(き)を益(ま)すという意味を持つ漢方薬です。様々な原因(肺炎や尿路感染症などの感染症、悪性腫瘍、栄養失調、外科手術など)によって、全身倦怠感や食欲不振、微熱などの症状がある際に、弱った消化吸収能を立て直すことで全身状態を改善させる漢方薬です。風邪の症状は治まったものの、倦怠感、食欲不振、微熱が続いている場合が良い適応になります。このように検査では異常があらわれない高齢者の急性感染症の治癒後の不調に活用できるのが漢方薬で、こうした弱った体力を補う効能効果を期待できる薬剤は西洋医学の治療薬にはなく、漢方治療の良い適応です。

「補剤」は、疲労感を改善することが知られており、これにより活動量が増え、筋肉量低下や身体機能の低下を予防することができます。また、リハビリテーションに対して意欲を持って取り組むことができます。すなわち、補気作用とは、抗うつ作用を含むものと考えられます。

 漢方医学では「未病(みびょう)」という言葉があります。「未病」は、病気になる前の半健康状態を指し、病気になる前に自然治癒力の保持、体力の向上などを行って、病気にならないようにしようという予防医学的な考え方で、フレイルは、まさに、この「未病」の状態と考えられます。心と身体は一体であるという「心身一如(しんしんいちにょ)」を重要と考えて心の乱れが身体に現れるということを意味する考え方であり、全身を捉える概念から治療を考慮できるのも漢方治療の利点です。

 当科では、術後や長期臥床後の食欲不振に対して「六君子湯(りっくんしとう)」を投与し、体力回復目的で「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、より虚証の方には、「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」を選択し、感染を予防しつつ、順調にリハビリテーションが進むようにサポートしています。

 「疲れ」というキーワードからは、人参と黄耆(おうぎ)を含む漢方薬(参耆剤(じんぎざい))が選択されます。その代表的な漢方薬が、補中益気湯、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯であり、脳卒中後で元気がない、気力がない、疲れやすく、耐久性がない方に投与すると、リハビリテーションが進むようになり、耐久性も向上することを多数経験します。膝痛に対しても、頻度の多い偽痛風には、防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)に越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)+附子末(ぶしまつ)を追加し、漢方薬の即効性を患者さん、ご家族から感謝されます。

 脳卒中後の高齢者は、まさに、フレイルであり、疲れやすい、だるいという状態でのリハビリテーションは、避けなければなりません。西洋医学では、病気としてなかなか認識されにくいもので、何となく疲労が続くという段階で、改善する必要があります。まずは、睡眠、栄養を十分に摂ることが大切です。不眠対策、低栄養対策を講じる必要があります。気虚(ききょ)とは、「気力」「栄養」「免疫」の低下を意味します。

 西洋医学的治療では、脳卒中後の疲労感を改善する治療法には限界があり、漢方薬、特に補中益気湯などの「補剤(ほざい)」の適応となります。

 補中益気湯は、中(ちゅう:消化吸収能という意味)を補って、気(き)を益(ま)すという意味を持つ漢方薬です。様々な原因(肺炎や尿路感染症などの感染症、悪性腫瘍、栄養失調、外科手術など)によって、全身倦怠感や食欲不振、微熱などの症状がある際に、弱った消化吸収能を立て直すことで全身状態を改善させる漢方薬です。風邪の症状は治まったものの、倦怠感、食欲不振、微熱が続いている場合が良い適応になります。このように検査では異常があらわれない高齢者の急性感染症の治癒後の不調に活用できるのが漢方薬で、こうした弱った体力を補う効能効果を期待できる薬剤は西洋医学の治療薬にはなく、漢方治療の良い適応です。

「補剤」は、疲労感を改善することが知られており、これにより活動量が増え、筋肉量低下や身体機能の低下を予防することができます。また、リハビリテーションに対して意欲を持って取り組むことができます。すなわち、補気作用とは、抗うつ作用を含むものと考えられます。

漢方医学では「未病(みびょう)」という言葉があります。「未病」は、病気になる前の半健康状態を指し、病気になる前に自然治癒力の保持、体力の向上などを行って、病気にならないようにしようという予防医学的な考え方で、フレイルは、まさに、この「未病」の状態と考えられます。心と身体は一体であるという「心身一如(しんしんいちにょ)」を重要と考えて心の乱れが身体に現れるということを意味する考え方であり、全身を捉える概念から治療を考慮できるのも漢方治療の利点です。

 薬の酸化マグネシウムは、高齢者で腎機能が低下してくると高マグネシウム血症(悪心、嘔吐、立ちくらみ、めまい、徐脈、皮膚が赤くなる、眠気、脱力、倦怠感などの副作用がみられる)のリスクが増大するので、「慢性腎臓病 (CKD:Chronic Kidney Disease)」の方は要注意です。

 リハを行う際に問題となる阻害因子に対して、漢方薬を導入することで、リハが円滑に進むことを多数経験しています。興味のある方は、文献や成書を参照していただければ幸いです。