読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

整形外科 大木 有佑

<症状>
 おもな症状は、膝の痛みと腫れ(水がたまる)です。
 初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時のみに痛み、休めば痛みがとれますが、正座や階段の昇降が困難となり(中期)、末期になると、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、膝がまっすぐ伸びず歩行が困難になります。

<原因>
 加齢による関節軟骨の老化によるものが多いです。関節軟骨が加齢により弾力性を失い、軟骨がすり減り変形していきます。他にも、肥満や筋力低下、骨折や半月板損傷などの外傷後の後遺症として出現することもあります。

<診断>
 レントゲンにて多くは診断がつきます。必要に応じMRI検査なども行います。

<予防>
1)大腿四頭筋訓練
ふとももの筋肉を強化することで、膝にかかる負担を減らします。
具体的には、足上げ運動などが有効です。

2)減量
体重が多いほど、膝にかかる負担が大きいです。
体重が2㎏減るだけで、歩行時に膝にかかる負担を4-6㎏、階段昇降時に膝にかかる負担を10㎏程度減らせると言われています。

3)日常生活の改善
和式トイレの使用や、正座などは膝に負担が強くかかります。
また、膝を温めることで血行を良くすることも、予防につながるとされています。

<治療>
  症状が軽いうちは痛み止めなどの内服や外用薬などで経過を見ます。関節内のヒアルロン酸注射や、装具を装着することもあります。改善が見られない場合は手術を行います。
 年齢や変形の度合いにより手術方法を決めますが、多くは人工膝関節置換術を行います。
 当院でも、人工関節置換術を行っておりますので、膝痛でお困りの方はぜひ受診してみてください。