読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

呼吸器外科 科長 加藤暢介

1)はじめに
 “外科”と言うと真っ先に思いつくのは“白い巨塔”の舞台でもあった食道・胃・大腸・肝胆膵外科を中心とした消化器外科であり、脚光のあび方で言えば天皇陛下の手術や“チーム・バチスタ”で話題となった心臓血管外科ではないでしょうか。その中で呼吸器外科は比較的馴染みの薄い存在であり、初めて耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。今回は当院での呼吸器センター標榜に伴い当科の特徴についてお話させていただきます。

2)呼吸器外科の歴史
 呼吸器外科の対象領域は戦前より肺結核症に対する外科治療に始まり、その後現在までに膿胸、外傷、肺・気管支・縦隔の腫瘍、肺移植へと広がってきました。

3)呼吸器外科の役割
 呼吸器外科では、食道や心臓・大血管を除く胸部(肺)疾患の診断や外科的治療を中心に担当しています。また呼吸器センターとして外科治療だけでなく、呼吸器内科をはじめ他科とも連携をとりながら診断から治療(化学療法、放射線療法、緩和療法など)までを行っております。

4)主な対象疾患
①肺腫瘍(原発性肺癌、転移性肺腫瘍、良性腫瘍など)
②縦隔腫瘍 (胸腺腫、胸腺癌、胚細胞性腫瘍、悪性リンパ腫、神経原性腫瘍、奇形種など)
※縦隔とは左右の肺、胸骨(前方)と脊椎(後方)とで囲まれた部位のことです。
③嚢胞性肺疾患(気胸、巨大肺嚢胞)
④胸膜中皮腫
⑤感染性肺疾患(膿胸・肺膿瘍 等)
⑥胸部外傷(交通事故、転倒・転落 等)
⑦手掌多汗症
⑧漏斗胸(胸骨と肋骨・肋軟骨が背骨側に漏斗状に陥凹したもの)

5)当科の特徴
 
当科は東海大学医学部呼吸器外科学教室から派遣のため相互の連携は良く、いつでも大学病院に相談したり応援の医師派遣が受けられます。東海大学は患者さんへの侵襲の少ない胸腔鏡下手術を数多く手がけている国内でも有数の施設であります。東海大学の胸腔鏡下手術は標準開胸の傷を徐々に小さくしていき2ヶ所への集約を試み、この方法を二窓法(two-window method)と言います。原発性肺癌の多くの症例にこの方法を用いて手術を行っております。また、5mmの胸腔鏡を導入し、背中は刺し傷のみで全ての手術を腹側から行う一窓法(one window & one puncture method)を自然気胸や転移性肺腫瘍にも導入し、より低侵襲な手術を目指しております。当院でも低侵襲手術を積極的に取り入れ、原発性肺癌・気胸・転移性肺腫瘍・縦隔腫瘍に対する胸腔鏡手術を完全鏡視下で行っております。胸腔鏡下手術により患者さんへの侵襲を大きく減じられるようになり、入院日数は悪性腫瘍症例で1週間程度、若年の自然気胸では術後3日程度と短くなり、治療にともなう社会生活への負担も軽減されると考えております。症例に応じ、標準開胸あるいは胸腔鏡手術を臨機応変に選択しております。また、肺癌術後の再発防止を目的とした術後補助化学療法や、再発症例に対する化学療法についても積極的に取り組んでおり、日常生活を維持したまま外来通院で抗癌剤治療をお受けいただけます。

【当科での手術】
標準開胸                     胸腔鏡手術(二窓法)
                            

広い視野が得られ、                肩甲骨の下角を中心に、その前後に
胸腔内操作が容易である。            2か所の創を開けて手術を行います。

5)当科の特徴
 当科医師は東海大学医学部呼吸器外科学教室から派遣されているため相互の連携は良く、いつでも大学病院に相談したり応援の医師派遣が受けられます。東海大学は患者さんへの侵襲の少ない胸腔鏡下手術を数多く手がけている国内でも有数の施設であります。東海大学の胸腔鏡下手術は標準開胸の傷を徐々に小さくしていき2ヶ所への集約を試み、この方法を二窓法(two-window method)と言います。原発性肺癌の多くの症例にこの方法を用いて手術を行っております。また、5㎜の胸腔鏡を導入し、背中は刺し傷のみで全ての手術を前方から行う一窓法(one window & one puncture method)を自然気胸や転移性肺腫瘍にも導入し、より低侵襲な手術を目指しております。当院でも低侵襲手術を積極的に取り入れ、原発性肺癌・気胸・転移性肺腫瘍・縦隔腫瘍に対する胸腔鏡手術を完全鏡視下で行っております。胸腔鏡下手術により患者さんへの侵襲を大きく減じられるようになり、入院日数は悪性腫瘍症例で1週間程度、若年の自然気胸では術後3日程度と短くなり、治療にともなう社会生活への負担も軽減されると考えております。症例に応じ、標準開胸あるいは胸腔鏡手術を臨機応変に選択しております。また、肺癌術後の再発防止を目的とした術後補助化学療法や、再発症例に対する化学療法についても積極的に取り組んでおり、日常生活を維持したまま外来通院で抗癌剤治療をお受けいただけます。