読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

                                眼科 科長 長田 康介

疲れていると、まぶたや目のまわりがピクピクすることはよくあります。しかし、その症状がいつまでも続いたり、その範囲が広がったりしたら注意が必要です。けいれんの多くは命に関わるものではありませんが、放っておくと日常生活に影響を与えかねません。みなさんも以下にあてはまる症状はありませんか?

 

□光がまぶしい

□まばたきの回数が多くなった

□まぶたがピクピクする

□眼が乾き、ショボショボする

□目を開けているのがつらい

□目や魔の周囲に違和感や異物感がある

□以前のように自然なまばたきができない

□意志とは関係なく目をつぶる

 

このうち2つ以上あてはまるものがあれば、眼瞼けいれんの可能性があります。

 

眼瞼けいれんは、自分の意志に関係なく、両目のまわりの筋肉が勝手にけいれんし、目が開けにくくなる病気です。50~70歳代の女性 に多くみられますが、まれに20歳代でも起こることがあります。症状は初期にはまぶしい、目をつぶっていた方が楽、眼が乾く、目がショボショボするなどドライアイと似たような症状があります。進行すると、自分の意志で目を開けようとしても、目を開けられなくなり、手を使って開けなければならない場合もあります。

 

治療はボツリヌス療法といって、緊張している筋肉に、緊張をやわらげるお薬を注射することで、けいれんや収縮の原因となっている神経の働きを抑え、緊張しすぎている筋肉を緩めるものです。眼瞼けいれんには保険診療で注射可能で、約80%の患者さんで症状の改善がみられます。注射の効果はおよそ2~4ヶ月程度で、その後症状再発あれば再度注射することができます。効果には個人差がありますので、治療は医師と相談しながら行います。注射は資格のある医師しかできませんが、当院では眼科で施行可能ですので、受診いただき、御相談いただければ良いかと思います。

 

また、眼瞼けいれんに似た症状に、顔の片方の筋肉だけが勝手にピクピクしてしまう、片側顔面けいれんがありますが、こちらもボトックス治療可能です。同様に眼科で治療していますので、心配な方はまず受診して御相談いただければと思います。

 

参考 冊子ほほえみ(グラクソ・スミスクライン株式会社)