読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

皮膚科 江上将平

 加齢、体質により皮膚は個人差がありますが、きれいな皮膚を保つためには自分の体質を理解してスキンケアをすることが大切です。いつまでも若々しくきれいな肌を保つために皮膚を大切にしてあげましょう。

乾燥の予防 ~ドライスキン~
 皮膚には水分保持機能がありますが、この水分含有量が低下すると角層が硬くなり、柔軟性がおち、また皮膚が粗造化し異物からの刺激に敏感になり、かゆみや湿疹を引き起こします。
 水分保持機能は加齢によって衰えます。また湿度が低いと乾燥しやすくなります。背部や下腿は乾燥しやすい部位です。アトピー性皮膚炎の方は、もともとの皮膚の構造が通常よりも乾燥しやすい方が多いです。
 乾燥を予防するには保湿剤(化粧水)が重要です。特に入浴後のタイミングで保湿剤を外用すると効果が上がります。その後に乳液やクリームなどを外用すると保湿の効果がより発揮されます。

脂性肌(オイリースキン)の対応
 「脂っぽい肌」(脂漏)は、脂腺機能の亢進により皮脂の排出が増大する状態です。頭部や顔面、胸骨部、肩甲骨部が脂漏部位とされ、「ふけ顔」も脂漏に含まれます。脂腺は男性ホルモンの影響を受けるため、男性のほうが脂漏になりやすいです。この脂漏が高度になると「脂漏性皮膚炎」という湿疹を起こします。対応としては、洗浄剤により皮脂や汚れをやさしく丁寧に洗い落とすことが基本です。マッサージは皮脂の分泌を促すのでおすすめしません。

にきびの予防
 にきびは脂腺性毛包(しせんせいもうほう)が存在する顔面、胸背部に好発します。男性ホルモンが増える思春期に皮脂の分泌が増え、にきびを発症することが多いです(女性にも少量ですが男性ホルモンは分泌されます)。
 にきびは脂腺毛包が拡張して面皰(めんぽう)となり、炎症が加わることで膿疱や紅色丘疹となります。強い炎症の後には瘢痕や色素沈着を残すため適切な治療が必要です。
 軽症ではスキンケア(洗顔、保湿)が基本です。朝夕に洗浄剤で優しく洗顔し、皮脂や汚れを洗い落とします。また、悪化因子となる習慣(額や頬にかかる髪型、頬杖、にきびにさわる癖)、不摂生な生活(睡眠不足、不定期な食事、チョコレートやナッツ、ケーキなどの過食)、日焼けを避けましょう。
 過剰な皮脂をとるため脱脂も効果的ですが、性状な皮膚は逆に脱脂することで乾燥や皮膚バリアの低下を起こすため、面皰部位に限局して脱脂することが必要です。炎症を起こしている場合は抗生物質を含有した外用剤や内服が効果的ですので、難治な際には皮膚科に相談してください。

しみの予防
 いわゆる「しみ」は老人性色素斑と呼ばれ、紫外線が原因とされています。適度な日光浴は健康によいですが、過剰な紫外線暴露は皮膚の天敵です。美白を気にされる方は日焼け止めの概要を習慣づけましょう。治療としては美白剤の概要やレーザー治療がありますが、まずは予防が肝心です。「しみ」に似ているけど異なる病気もありますのでお困りの際には皮膚科に相談してください。

しわ、たるみの予防
 加齢や外的負荷により皮膚の結合織成分が変性することで皮膚の収縮力、柔軟性が失われ”たるみ”や”しわ”を生じます。
 このたるみとしわの予防には、
 ①皮膚に過度の運動負担をかけない(おしゃべりな人はしわも多い)
 ②外的負荷をかけない(皮膚を擦る人ほど小じわが増える)
 ③紫外線を避ける(紫外線刺激により弾力繊維が変性する)
 ④急激な体重変化をしない(急激に皮膚が拡張するので、痩せた際にたるむ)
 ⑤栄養に気を付ける(過度の蛋白摂取は老化を促進する)
が必要です。

 以上を参考に皮膚を大事にしてあげてください。
お悩みの際には皮膚科にご相談ください。

◇皮膚科外来へのお問い合わせ◇
 054-336-1111(内線2150)まで