読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

整形外科 科長 栩木弘和

1)橈骨(とうこつ)ってどこの骨?遠位端ってどこ?(図1)
 手首から肘にかけて2本の骨があります。親指側を橈骨、小指側を尺骨といいます。その手首に近いところを遠位端といいますので、橈骨遠位端骨折は手首の骨折の1つです。

 

2)原因は?
 受診する一番多い理由は、骨粗鬆症を伴った患者さん(おおよそ50歳以降)の軽微な転倒によるものです。小児のスポーツ外傷も清水地区はスポーツ活動が盛んということもあって近隣の病院、医院から当院に結構紹介来院されます。また当院は清水地区の基幹病院として多くの救急患者を受け入れているため、転落、交通外傷などの高エネルギー外相によるものも年齢問わず来院されます。

3)診断
 転倒後に手首が腫れて、痛みがあれば橈骨遠位端骨折等疑いレントゲン撮影、また精密検査としてCTなど追加検査を実施することでほぼ診断がつきます。

4)治療
 初期にはまず手をひっぱるなどして、もとの形に近づける操作(徒手整復)を行い、ギプス固定を行います(図2)。状態がよければ通常5-6週でギプスが外れます。ただしギプス固定後、数日してずれてきてしまう場合や、初期の時点でかなり粉砕が強く、もとの形に戻らない骨折の場合は手術をお勧めしています。手術の方法は折れ方によっていくつかの方法(ワイヤー固定、創外固定、髄内釘、プレート固定等)が行われます(図3)。

5)リハビリと回復具合
 手首の骨折ですので手首の動きの回復はもちろん大事ですが、同様に手指が固く動きが悪くなってしまうと、かなり日常生活で不便になります。ですので、ギプス固定中であっても手術後であっても手指の曲げ伸ばし運動を出来るだけ行うように指示しております。
 また肩、肘に関しても上肢として働くには大事ですので、そちらも同様に運動訓練を行います。回復具合の1つの目安として、握力に関しては骨折してから約1年かけて、ほぼ骨折前の状態になります。骨折は半年くらいでほぼ癒合していますが、手機能回復としては1年くらいの時間がかかる骨折です。

【参考】『手の外科学』、『手外科シリーズ』