読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

2015.08.01

整形外科医長 古川 満

 

★頸髄症とはどんな病気?
 首(頸椎)の骨には脊柱管というトンネルがあり、その中を脊髄という神経が通っています。この脊髄の中に電気信号が流れて、脳から送られてきた情報を手足に伝えることができます。また手足で感じた感覚は、脊髄を通り電気信号として脳に伝わります。頸髄症とは、加齢性に伴い、椎間板が突出する、骨のとげができる、また靭帯が厚くなることで脊柱管が狭くなり、脊髄が圧迫される病気です。

 

★症状は?
 両手、両足のしびれを自覚します。書きづらい、ボタンがかけづらい、ハシが使いづらい等の手の不自由さ、歩行しづらい、歩行できないといった症状が見られれば重症です。

 

★治療方法は?
 圧迫されている脊髄を救うためには、圧迫しているものを取り除き、脊髄の通り道を広げてあげる手術が必要となります。手術方法は病院ごとに異なります。以前は、当院でも、他病院で行われているように筋肉を骨から椎骨を削り、厚くなった靭帯を取り除くことで神経の圧迫をとっていました。ただこの手術方法は筋肉を傷めてしまうため、手術後に首の痛みが出て、患者さんを苦しめていました。そこで当院では、2009年より、筋肉を傷めず、手術後の首の痛みが非常に少ない手術方法を採用して行っています。この手術方法は選択的椎弓形成術と命名されています。顕微鏡を使っておこないます。小さい傷でも十分、安全にできますし、首が手術前のように動かせる利点もあります。この手術方法ができるのは市内では当院だけです。

 

★手術後はどうなるの?
 選択的椎弓形成術では装具は不要、翌日起き上がれ、歩行訓練ができます。他の手術方法では、装具をつけてしばらくベッド上で安静が必要です。

 

★どれぐらい良くなるの?
 手術を行えば、症状の重症化を食い止めることができます。また手術前より手の動きが良くなり、歩きやすくなります。ただ、残念ながら傷ついた神経の回復には限界があります。神経が圧迫されている期間が長ければ、それだけ神経が傷み、手術による回復が悪いのも事実です。

 

★最後に一言
 症状をお感じの方は、症状が重症化する前に整形外科外来にご受診ください。