読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

外科 診療部長 丸尾啓敏

 

 抗がん剤を使う治療を科学療法といいます。消化器のがん(食道がん、胃がん、大腸がん、肝・胆・膵がん、など)は一般に化学療法が効きにくいがんですが、様々な抗がん剤の開発によって、最近は治療成績が向上し、化学療法の重要性が増してきました。
 皆さんに理解していただきたいのは、化学療法にも主に2種類あることです。手術後の再発リスクを最小限に抑えるために行われる補助化学療法と、再発・転移して手術で切除できない場合の治療法としての全身化学療法です。
 患者数が最も多い大腸がんを取り上げて解説します。

 

術後補助化学療法

 大腸がんの治療は手術が基本ですが、再発のリスクが考えられる場合には、手術の後に化学療法を行うことで再発の予防、あるいは再発までの期間延長ができることがわかっています。科g九療法は抗がん剤の投与後に一定の期間投与を休止し、再び投与を繰り返すパターンで進められます。一般には、術後半年から1年間ほど治療を行い、がん再発の抑制に努めます。
 術後補助化学療法の代表的なものに、点滴で行うフルオロウラシル(5-FU)/ロイコボリン(LV)療法がありますが、5-FUの代わりに経口薬であるUFTを用い、さらにLVも経口薬に替えたUFT/LV療法が注射剤の5-FU/LV療法と同等の効果があることが明らかになり、よく使われるようになりました。また、1種類の内服薬ではカペシタビン療法(商品名ゼローダ)、S-1療法(商品名ティーエスワン)も現在よく使われています。

 

再発・転移に対する全身化学療法

 肝転移は大腸がんの再発で最もよくみられる転移形式です。そのほか、肺、リンパ節、骨、腹膜などに転移を起こしやすく、局所再発といって手術した場所の近くでがんが再発することもあります。二つ以上の臓器に転移がある場合や、手術で切除できない場合が全身化学療法の対象になります。行うには全身状態が良好で、治療を受ける体力があることが条件です。
 通常、3種類以上の抗がん剤が用いられます。その内容は全国共通の「大腸がん治療ガイドライン」で定められています。基本的な組み合わせとして、FOLFOX療法がありますが、これは5FU、LV、オキサリプラチン(商品名エルプラット)を併用した治療法です。最近、分子標的薬の併用で化学療法の効果が著しく向上しました。血管新生阻害剤のベバシズマブ(商品名アバスチン)や、抗EGFR抗体薬のセツキシマブ(商品名アービタックス)、パニツムマブ(商品名ベクティビックス)、などです。これらをFOLFOXと併用します(単独で投与することもあります)。

 FOLFOX療法では、皮下埋め込み式ポートと持続注入ポンプが必要なため、その手間を省くために内服薬であるゼローダまたはティーエスワンを5-FUの代わりに使ったCapeOX(=XELOX)療法、SOX療法も一般的になってきました。
 これらの治療は外来でも受けることができます。外来では「外来化学療法室」で点滴を行います。化学療法の副作用については紙面が足りないので次の機会とします。

 

 化学療法は主治医の説明をよく聞いて理解し、納得したうえで受けてください。

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