読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

整形外科 医長 柴田玲生

■どんな病気?
背骨は、椎骨とそれをつなぐ椎間板や黄色靭帯などで構成されており、その内側には脊髄の神経が通る「脊柱管」があります。脊柱管狭窄症とは、その脊柱管が狭くなる病気です。50歳代から徐々に増え始め、60~70歳代に多くみられます。高齢者の10人に1人は腰部脊柱管狭窄症であり、推定患者数は約580万人といわれています。

■どんな症状?
下肢の痛みやしびれ・麻痺(脱力)・排尿障害(頻尿・残尿感)などが発生します。
これらの症状は主に立ったり歩いたりすることで悪化し、さらに長距離を続けて歩くことができなくなります。この歩いては休むことを繰り返す状態を間欠跛行(かんけつはこう)と呼び、腰部脊柱管狭窄症に特徴的な症状です。

■原因は?
加齢・労働・あるいは背骨の病気による影響により椎間板が変性したり背骨が変形したりすることで脊柱管が狭くなります。それによって中の神経が圧迫されて、腰や足の痛み・痺れなどの症状が起こりますが、圧迫される神経の場所によって症状の現れ方が異なります。

■診断は?
脊柱管狭窄症かどうかは、病歴、問診などの診察所見、画像検査などにより診断します。画像検査としては、X線(レントゲン)検査、MRI検査、CT検査、脊髄造影検査などを行います。

■治療は?
症状の程度・年齢・狭窄の程度に応じて決定します。保存療法(手術をしない方法)と手術療法に大きく分けられます。

【保存療法】
薬・運動・注射(ブロック)が主体となります。それらの治療で症状が改善することもありますが、症状が強く生活に支障をきたしたり、保存療法でなかなか改善しない場合は手術をお勧めしております。

【手術療法】
症状が強い場合や保存療法で治らない場合は手術により、神経の通り道である脊柱管を広げる必要があります。椎弓と呼ばれる骨を削って神経の通り道(脊柱管)を広げる除圧術が主に行われますが、削るだけだと脊椎が不安定になってしまう場合は金属で脊椎を固定する手術を併用することもあります。各種検査で詳細な状態を把握した上で、患者さんの病態に最もあった手術を提案させていただきます。