読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

皮膚科 医長 八代 聖

●生まれつきある青あざは異所性蒙古斑かもしれません??
日本人の多くは生まれた時から“おしり”に『蒙古斑』という青あざがみられます。蒙古斑は、自然に消えていくものですので、心配する必要はありませんが、“おしり”以外の部位にも青あざが生じることがあります。“おしり”以外の部位に認められる蒙古斑は『異所性蒙古斑』と呼ばれ、医学的には腰背部以外に生じる、単一な色調の平坦な青色斑を指します。

●異所性蒙古斑は消えますか??
一般的な蒙古斑と比べると、“おしり”以外の体幹や手足などに生じる異所性蒙古斑は、消えにくいと言われています。小学校高学年頃までに徐々に消えていくことが多いですが、部位や色の濃さなどによっては消えにくく、ある程度残ったままになってしまうこともあります。

●異所性蒙古斑の治療にレーザー治療があります
異所性蒙古斑そのものの性質は心配のないものですが、手足や顔など部位によっては目立ってしまうこともあり、整容面で問題になることがあります。
一般に、異所性蒙古斑に対してはレーザー治療を行うことで、色調を薄くすることができます。当院では異所性蒙古斑に保険適応のある、Qスイッチアレキサンドライトレーザーを用いています。実際には、生後1か月頃から、大人まで、幅広い年齢で、レーザー治療を行うことができます。こどもは大人と比べて皮膚が薄いため、標的とする色素にレーザーが到達しやすいと考えられており、施術による治療効果が得られやすいと言われています。 皮膚の状態によってはレーザーが適さない場合もありますので、まずは皮膚科までご相談ください。

●実際にレーザー治療はどのように施術するのですか??
実際にレーザー治療を行う時には、まず皮膚の状態を観察します。表面に湿疹や傷がある場合は、レーザーは適さないため施術できません。皮膚状態に問題がなければ、局所麻酔剤のクリームやテープによる麻酔を行います。十分に麻酔が効いた状態で、レーザーを照射します。レーザーの施術時間は、蒙古斑の大きさにもよりますが、通常は数分から数十分程度です。 レーザー照射後は、軟膏によるガーゼ保護を行い、患部を保護します。レーザーを照射したところは数日かけて黒いカサブタに変化していきますので、ご自宅でも軟膏によるガーゼ保護を1〜2週間程度行っていただきます。

●1回のレーザー治療で綺麗になりますか??
1回のレーザー治療でも色調改善は得られますが、一般には4〜5回程度の照射が必要と言われています。レーザー治療の効果は個人差がありますし、蒙古斑のサイズや色調の濃さによっても異なりますので、実際の照射回数については、診療の中でご相談していくようにしています。

●レーザー治療についてもっと知りたいのですが、どうしたら良いですか??
『異所性蒙古斑』と一言でいっても、その色調や大きさ、部位などによってはレーザー治療が適さないこともありますし、さまざまです。まずは、皮膚科までご相談してみてください。個々の患者さんの希望に沿った最適な治療プランをご提示できればと思います。