読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

循環器内科 佐藤國芳

●狭心症、心筋梗塞はどんな病気?
心臓の表面には冠動脈という血管が走っており、これらが心臓の筋肉を栄養しています。大きく左冠動脈、右冠動脈に分かれ、左冠動脈はさらに大きく2本(左前下行枝、左回旋枝)に分岐します。狭心症はこれらの血管のどこかが動脈硬化により詰まりかかっている状態、心筋梗塞は完全に詰まってしまう病気です。

●どんな症状が出ますか?
狭心症の症状は、心臓の筋肉(心筋)に十分な血液の供給がない状態(虚血)により自覚する胸部不快感です。主に動いた際(階段や坂道を登る時など)に症状を感じます。心筋梗塞は、完全に血管が詰まっている状態ですので、安静時にも強い胸部違和感を自覚し、場合によっては意識消失などの重篤な症状を引き起こします。また、心筋梗塞になってしまった場合は、不可逆性の心筋障害が残ってしまい、将来突然死や心不全発症の原因となります。そのため、早期発見が重要となります。

●どんな人が狭心症や心筋梗塞を発症するの?
原因の多くは動脈硬化が進み、心臓の血管(冠動脈)が細くなることにより生じます。
そのため高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの動脈硬化の進行を加速する因子をコントロールすることが心筋梗塞の予防に大切です。当院では糖尿内科の医師と共に治療を進めています。

●狭心症と心筋梗塞の診断
症状からこれらの病気が疑われる際は、検査を進めていきます。 一般的には開業医の先生方から、心電図異常や胸部症状の原因検査としてご紹介されるケースが多いです。
当院では、心臓超音波検査、冠動脈CT、心筋シンチグラフィーなどの検査で狭心症の可能性について評価を行います。これら検査から、狭心症の可能性が高い患者さんには心臓カテーテル検査を勧めております。

●心臓カテーテル検査はどんなことを行いますか?
カテーテルという管を心臓の血管(冠動脈)に近づけ、造影剤を流すことで血管の狭窄や閉塞がないかを確認します。狭窄や閉塞を認める場合は治療を行い、バルーンで狭い血管を広げ、広がった血管にステントを留置します。ステントは人工物ですが、薬剤溶出性ステントというもので、以前と比べ格段に再狭窄のリスクは減りました。また、カテーテルは手首の血管から挿れていきますので、痛みも少なく低侵襲な手術となります。
当院では、2泊3日の入院検査、治療をお勧めしております。

●「胸」の症状でお困りのかたへ
この他にも動脈硬化が原因でなく、ストレスによって血管自体が細くなる「冠攣縮性狭心症」というご病気もあり、お薬での治療が可能です。また、胸の症状が不整脈による症状の可能性もございます。いずれも当院で検査、治療を行うことができます。
ここまでの内容のような「胸」の症状があり、お困りの方は是非当院の循環器外来でご相談ください。