読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

泌尿器科 内田貴人

尿の中に含まれているカルシウムやシュウ酸などが結晶をつくり、それが、タンパク質などと結合して固まったものを結石といいます。 尿は図1の示す「尿路」を通り、腎臓、尿管、膀胱に結石ができる病気を尿路結石症といいます。腎臓にできれば、腎結石。これが下に落ちてくれば、尿管結石、膀胱に結石ができれば、膀胱結石ということになります。

本邦における尿路結石の年間罹患率は食生活の欧米化やライフスタイルの変化に伴い上昇傾向を認めており、図2の示す通り年々増加の一途を辿っています。全世界的にも上昇傾向を示しており、肥満・高血圧・高尿酸血症が高頻度に合併していることから生活習慣病として認識されてきています。


尿路結石にはいくつかの種類があり、代表的なものとして以下のものが挙げられます。
シュウ酸カルシウム結石(80%)、リン酸カルシウム結石(10%)、尿酸結石(6%)、リン酸マグネシウムアンモニウム結石(1%)、シスチン結石(0.7%)など
主な発生原因として、動物性タンパク質の過剰摂取、カルシウムの摂取不足、シュウ酸カルシウムの過剰摂取、水分不足、長期臥床、尿路感染症などがあります。

症状:
突発的な腰背部痛(腹痛や鼠径部痛などの訴えもあり)、嘔気・嘔吐、血尿などがあり、時として尿路感染を伴う場合は38℃以上の高熱を伴うこともあります。

治療法:
基本的には鎮痛薬や排石促進薬を使用しながら飲水(国産水やほうじ茶)がメインとなります。但し結石が1㎝以上の大きさとなると自然排石が難しいと言われており、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経尿道的尿管結石砕石術(TUL)の適応となります。ESWLは当院では日帰りで行うことができ、またTULは5日間程度の入院期間となります。また発熱を伴う場合は結石性腎盂腎炎の場合は尿管ステントの迅速な留置と抗菌薬加療が必要となり、時として敗血症(血流に細菌感染を起こす)など致命的な経過を辿ることがあります。

予防法:
シュウ酸カルシウム結石が大部分を占めるため、その予防について説明します。
カルシウム摂取が十分だとシュウ酸カルシウムが便として排出され、シュウ酸の体内への吸収が抑制され結石発生予防となると言われています。
シュウ酸を多く嗜好品として、チョコレート、コーヒー(ブラック)、ココア、紅茶、緑茶などがあり、食品としてはほうれん草、オクラ、ナッツ類、青汁など一般的に健康に良さそうなものも結石の原因となり得ます。そのため結石が生じやすい方にとってはこれらの食品については注意が必要となります。
逆に摂取が推奨されるものは、牛乳をはじめとしたカルシウムを多く含む食品、水分摂取であれば、ほうじ茶・水道水(軟水)が推奨され、水分摂取量は2ℓ/dayが目安となります。
尿路結石は非常に再発率が高く、食事療法を導入しないと70~80%近く再発してきてしまう。そのため食事療法を導入して再発を低減させることが必要となります。

最後に
本邦における尿路結石は増加の一途辿っていることから、非常に身近な疾患となっております。症状発症されての治療希望の方のみならず、食事療法など興味のある方は泌尿器科へご相談ください。