読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

2022.04.04

眼科 高橋亜以里

健康診断を受けたとき「緑内障の疑い」と言われたことはありませんか?

 緑内障は自覚症状が出づらく、自分で気づくことが難しい病気です。徐々に視力・視野障害が進行し、症状が出てやっと眼科を受診する頃にはかなり進んでしまっていることも少なくありません。しかも、一度進んでしまったら元に戻すことはできません。しかし、しっかりと治療をすれば一生十分な視力・視野を保てる可能性が高くなります。早期発見・継続治療がとても大切な病気なのです。

●緑内障とは
 視神経は眼と頭の中をつないでおり、眼から入ってきた情報を脳に伝達する役割をしています。 緑内障は、この視神経が眼球内側から押しつぶされることで、正常に機能する神経が減少していく病気です。
 じわじわと進行する慢性のタイプ(検診で指摘されるのはこのタイプ)が多いですが、中には急激に進行する急性発症のタイプもあります。
 視神経障害が進む大きな原因は、眼の硬さである眼圧です。視神経の強さは人それぞれで、眼圧がその人の耐えられる値より上昇することによって引き起こされます。

●症状
 慢性的に進行するタイプでは、少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。 進行は非常にゆっくりで、片眼で軽度な視野障害が起こり始めても、反対の眼でその視野障害を補ってしまうため、病気がかなり進行するまで自覚症状はほとんどありません。 急性発症のものは、慢性緑内障と異なり、眼痛や頭痛、視力低下、吐き気など多くの自覚症状が急に現れます。

●検査
 視力検査、眼圧測定、隅角検査、眼底検査、視野検査。

●治療
 まずは、眼圧を下げる目薬を使って眼圧をコントロールします。 点眼は決められた回数、時間にきちんと行うことがとても重要です。 (自分の判断で点眼回数を減らしたり増やしたりはしないでください) 点眼薬を何種類か組み合わせて使っても眼圧が下がらなかったり、視野障害が進行したりする場合は、手術やレーザーの処置 で眼圧を下げる方法もあります。 ※急性発症の緑内障は、手術が第一選択になります。 ★緑内障の治療は一度始まると、基本的にはその先ずっと続けていくものです。 長い付き合いになる病気ですから、眼科では一人ひとりの生活スタイル、他の持病などを考慮して、その人にとって一番良い治療を考えていきます。

40歳を超えたら、年に1回は健康診断または眼科で眼の検査を受けましょう!