読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

病院長 米川甫

皆さんが病院のイメージを考えるとき、真っ先に思い浮かぶのは看護師さんだと思います。これは小児期に医院を受診された折に優しかった看護師さんの印象が子供心にすり込まれたばかりでなく、患者さんが病院に来てまず外来や病棟で症状を聞かれたりするのは看護師さんですし、また検査の内容の説明なども看護師さんから聞く場合が多いことなどによると思います。

もちろん病院では医師の診察、説明、治療が重要なことは論を待たないと思いますが、当院の場合は医師数は75名前後であるのに看護師は330名ほどいて、医師と異なり完全な交代制勤務が組まれているので、いつも病院にいるという感じでしょうか。またもし入院すれば、患者さんの傍らにいつもいてくれるのは看護師であることにあらためて気づくと思います。

しかし看護師の9割は女性なので、結婚、子育てなどのために毎年30名弱が辞めて行きます。もちろん院内には専用の保育所を設けていますし、手厚い休暇制度がありますが、退職を引き留めることは難しいのが現状です。
全国の医師不足が叫ばれていますが、同様に看護師も慢性的な不足状態にあります。幸い当院の隣には市立清水看護専門学校がありますので毎年30名余りの卒業生が出て、その約6割の人が当院に就職しています。しかしこのままでは毎年10名前後の看護師が不足することになります。そこで中途採用も活発に行われるのですが、応募者はそう多くありません。

一度家庭に入られた看護師さんたちは、現在の医療の進歩が速いので自分が再び働くことに不安を持たれています。清水病院の中を見ても、この3年ほどの間にオーダリング、手持ちの小型電子端末(PDA)、電子カルテの導入など日常業務をこなすのに必要なツール(コンピュータ)が大幅に増えています。

しかしこれらは単なる道具立てであり、看護の心など本質的なことは余り変わってはいないのです。正しい教育を受ければ道具には比較的短時間で慣れることができます。当院では再就職される看護師さんには3か月はプリセプター(先輩看護師)をつけ、また採用後3週間程度はシミュレーション・ラボで点滴、採血、吸痰などの実習を行い、コンピュータの使い方も教育します。またその後には受け持ち患者を持たない病棟実習を行い、徐々に患者さんの数を増やすなど3~4か月の段階を踏んだ再教育ステップを用意しています。

良い看護を行うには多くの人手を要することは明白です。再教育の環境は整えますのでご家庭に入られた看護師さんたちが再び働いてくださるようにお願いしたいものです。または、お知り合いに現在は働いていない看護師さんがいらしたらお声をかけてみていただきたいと思います。

看護師さん募集のお問い合わせ
054-336-1111 看護部看護科 (内線2548)

静岡市立清水病院は、市民の医療ニーズに応え、より質の高い最善の医療を提供することを通して、地域住民の健康と福祉に貢献することを目指します。