読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

内科 浅井俊輔

寒さが一段と厳しくなり、街にはイルミネーションが灯る季節となりました。年末年始は、家族や友人と集まる機会が増える一方で、インフルエンザや新型コロナウィルス感染症が流行しやすい時期でもあります。せっかくの楽しい行事を安心して過ごすために、この時期に気をつけたい感染症対策を一緒に振り返ってみましょう。

●インフルエンザと新型コロナウィルスの特徴
インフルエンザは、例年11月頃から流行が始まり、1-2月にピークを迎えます。突然の発熱、頭痛、関節痛、全身のだるさが特徴で、普通の風邪とは違い、症状が急に強く表れます。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、発熱や喉の痛み、咳、倦怠感などが主な特徴で、味覚や嗅覚に異常がでることがあります。最近は重症化する例は減少していますが、高齢者や持病のある方は油断できません。
どちらも「飛沫」や「接触」で感染します。咳やくしゃみを抑える際のマナーや、手洗い・換気など、これまでの基本的な感染対策を引き続き大切にしましょう。

●検査と治療
近年では、インフルエンザとコロナを同時に調べられる検査キットが普及しており、短時間で診断できるようになりました。
治療では、インフルエンザには抗ウィルス薬(タミフル、ゾフルーザなど)が発症から48時間以内に効果を発揮します。
コロナに対しても、重症化リスクの高い方には抗ウィルス薬が使用される場合があります。どちらも早めの受診と適切な休養が回復の鍵となります。

●ワクチンで守る冬
感染を完全に防ぐことはできませんが、ワクチン接種によって重症化を防ぐ力を高めることができます。インフルエンザワクチンは例年10月頃から接種が始まり、効果は約5ヶ月続きます。コロナワクチンも流行株に合わせて改良されています。特に、高齢の方、持病のある方、ご家族と一緒に暮らす方は早めの接種をこころがけましょう。

●年末年始の過ごし方の工夫
年末年始は人の移動や集まりが増えるため、感染リスクも高まります。しかし、少しの工夫で安全に楽しむことができます。

・帰省前は体調を整え、発熱や喉の痛みがある場合は無理をしない
・集まりはできるだけ少人数、短時間で換気を意識する
・食事の時は「取り分ける」スタイルを意識し、共用の箸やコップを避ける
・外出先から帰ったら、手洗い・うがいを徹底する
・高齢の方と会う前は、数日前から体調管理をする

これらを守るだけでも、感染の広がりをぐっと減らすことができます。

●心と体の健康も大切に
感染症の流行期はどうしても外出を控えがちですが、家でできる気分転換も大切です。軽いストレッチや好きな音楽、読書などで心をリラックスさせましょう。
食事では、ビタミンCやタンパク質をしっかり摂取することで免疫力を保つことができます。お餅やごちそうが続く時期ですが、「よく噛む」「塩分を控える」「食べ過ぎない」などの基本も忘れないようにしましょう。睡眠をしっかりとることも、体を守る最大の予防です。

●さいごに
コロナ禍を経験してから、私たちは「感染を拡げない行動」を自然に身につけました。マスクや手洗いはもちろん、体調を崩したときに無理をしないことも大切なマナーです。
年末年始は、一年の疲れを癒やすとともに、新しい年への準備期間でもあります。健康に過ごすことが、家族や仲間への何よりの贈り物です。
どうぞ皆様、体を労りながら、笑顔溢れる新年をお迎えください