読みもの

患者さんのための機関誌「きよかぜ」

整形外科 藤田 渉

【どんな疾患?】
関節軟骨のすり減ることで関節の変形を生じ、疼痛や可動域の制限が引き起こされる慢性の関節疾患です。変形が進行すると骨棘や骨嚢胞といった骨の変化も生じます。
我が国での有病率は数%程度で、男性よりも女性に多いとされています。

【どんな症状?】
・股関節痛、歩き初めや長時間の歩行時
・股関節の動きが悪い、爪が切れない、靴下がはけない
・足を引きずる様になる
・関節の変形により足が短くなる

 

【原因は?】
・先天性疾患(先天性股関節脱臼、臼蓋形成不全)
・過去の感染や骨折
・大腿骨頭壊死
・関節リウマチ


【診断は?】

レントゲン、CT、MRIなどの画像検査を行います。
進行の程度もこれら画像検査から判断することになります。

 
 

 

【治療は?】
年齢、職業、スポーツ、進行の程度などに応じて決定します。 保存療法(手術をしない)と手術療法に大きく分けられます。

■保存療法
 ・鎮痛薬、湿布、ストレッチ、減量、リハビリ
■手術療法
 ・骨切り術:寛骨臼の骨を切り回転させることで股関節の荷重面を変えることで疼痛を改善させる術式になります。
 ・人工関節置換術:股関節を金属でできたインプラントを使用し置換します。

【手術は怖くない?リスクは?】
出血、感染、血栓、脱臼など重篤になる確率はわずかですが、リスクはあります。リスクに対する予防や治療法は確立されてきておりかなり安全になってきていますが、それでも完全に0にすることはできません。手術のメリットがリスクを上回ると判断される時に手術を提案させていただいております。

人工関節置換術では、術後脱臼を予防するために禁止肢位(正座から足をくずした座り方、いわゆる女の子座りのような姿勢がダメなど)がありますが、これも近年筋肉や腱をできるだけ切らない手術法が普及し、より制限なく日常生活に戻っていただけるようになっていきます。

患者様はそれぞれ症状も違えば生活様式も異なります。私たちは患者様一人一人に合わせた治療法を提案すべく日々の診療に取り組んでおります。股関節でお悩みのことがあればお気軽にご相談ください。