読みもの

病気のお話し

 頚椎(首の骨)の中心を脊髄(せきずい)という重要な神経が通ります。しかし加齢とともに、脊髄が圧迫されることがあります(頚椎症性脊髄症:けいついしょうせいせきずいしょう)。すると手や足のしびれが生じ、手の運動や歩行が障害されます。

 頚椎症性脊髄症は進行することが多く症状が重くなると手術を検討する必要があります。多くの病院で、首の後ろを15cmほど切開し、骨を広げて圧迫を取り除く方法が行われています。しかし重要な筋肉を頚椎から切り離すため、①首の強い痛み②首が硬くなり動かなくなる③猫背になり前を向けなくなる、などの後遺症が残ることがあります。

 そのため当院では選択的椎弓形成術(せんたくてきついきゅうけいせいじゅつ)という新しい低侵襲手術を行っています。この方法では傷は5cm程度と小さく、筋肉を頚椎から切り離さず、その隙間から骨を削り圧迫を取り除くため、術後の首の痛みは少なく、早期社会復帰が可能です。私は過去に500例ほどの選択的椎弓形成術を執刀してきました。お困りの方は、ご相談を。

整形外科 二宮 研