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病気のお話し

 HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンと聞くと、「接種後に重篤な副反応が起こり問題となった危険なワクチン」というイメージがあり、お子さんに接種させた方がいいか悩む方も多いのではないでしょうか。

 HPVは感染しても殆どの人では自然に消えますが、一部では子宮頸がんへと進行してしまいます。日本では毎年約1万1千人の女性が子宮頸がんに罹患し、毎年約2900人が亡くなっています。

 HPVワクチンは接種後の多様な症状の報告を受けて積極的な接種勧奨が一時差し控えられましたが、その後の様々な調査研究でワクチン接種との因果関係は証明されませんでした。ワクチンの効果を証明する報告も上がってきており、特に政策が進んでいるオーストラリアでは、2028年に子宮頸がんは撲滅できるという研究結果も示されています。

 日本では小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象にHPVワクチンを公費で接種することができます。また積極的な接種勧奨を差し控えていた機関に接種を逃した方にも公費接種の機会が提供されています。当院でも接種が可能です。

小児科 医師 津浦 海里