読みもの

病気のお話し

 黄疸という言葉をご存知でしょうか。眼球・皮膚あるいは尿が黄色くなる症状です。黄疸の原因物質はビリルビンで、これは肝臓で代謝され胆汁中に排泄されます。胆汁は肝臓内外の胆管を経由して十二指腸に分泌されます。この過程のどこかに障害が生じることにより血液中のビリルビン値が上昇します。血中ビリルビン値の正常値は1mg/dl以下ですが、およそ3mg/dlを越えると視覚的に黄色いと感じるようになります。

 成人の病的黄疸の原因はビリルビンを代謝できないか、胆汁の通り道の障害であることがほとんどです。具体的には肝炎や肝硬変などの肝臓の病気、胆道に石がはまり込んで生じる胆管結石など良性疾患、肝臓癌・胆道癌・膵臓癌など胆汁の通過障害を来す悪性腫瘍があげられます。胆管は膵臓の中を通って十二指腸に開口するため、この近くの膵臓癌が胆管を狭めてしまうと黄疸が出現するわけです。胆道癌や膵臓癌は自覚症状が乏しく、早期発見が難しい病気です。黄疸が唯一の初期症状であることも多いため、身体が黄色いかなと疑ったら、早めに医療機関を受診してください。

外科科長 柴﨑 泰