読みもの

病気のお話し

 呼吸器感染症の代表例として肺炎があり、院内で発症する“院内肺炎”と通常の生活環境で発症する“市中肺炎”に大きく分けられます。

 肺炎は細菌・ウイルス・真菌が原因となり起こりますが、一般的に院内肺炎を引き起こす微生物は抗生物質などが効きにくく、逆に市中肺炎を引き起こす微生物は効きやすい傾向にあります。

 患者様の基礎疾患・重症具合にも左右されますが、一般的な市中肺炎では適切な治療による原因微生物の除去と、全身状態の管理により症状が軽快することが多いです。

 しかし、残念ながら昨今話題の新型コロナウイルス(COVID-19)による肺炎には特効薬がなく、現状では全身状態の管理を含む対症療法が中心となります。ただし、ウイルス性肺炎後に発症する細菌性肺炎に対する治療法は一定の基準で確立しております。

 その様な場合に薬剤師は、適切に採取された細菌の培養結果を参考に、数十種類ある抗生物質の中から身長・体重を考慮し、常用薬との飲み合わせに注意しながら、最も適した抗生物質を主治医へ提案することで、感染症治療に貢献しています。

感染制御認定薬剤師 更谷 和真