読みもの

病気のお話し

 痔核とは肛門の静脈の異常拡張、あるいは肛門をささえる組織がゆるくなり脱出や出血、痛みをおこす病態です。

 手術を必要としないものもありますが、痔核が脱出して指で押し戻さなければ戻らない場合や、ひどい出血が改善しない場合など手術による治療をお勧めします。手術は結紮切除術(脱出や出血の原因である痔核を切除する)のほかに、注射による治療もあります。腫れた痔核に「内痔核硬化療法剤:ALTA」という注射を行い、消退させようという治療です。この治療は痛みが少なく入院期間も短いという利点があります。しかし、あまりに大きい痔核や脱出したままもどらない痔核、外痔核などには適した治療といえず、その場合は、結紮切除術を行うのがよいかと思います。

 当科では大きな痔核は切除し、小さな痔核は注射で治療するという両者を組み合わせた治療も取り入れています。尚、現在、痔核でお悩みの方だけでなく、痔核の術後の方も「トイレで長時間いきまないこと」「十分な睡眠と適度な運動による適切な排便習慣」などに心がけ、症状増悪、再発の予防に留意していただけたらと思います。

市民健診センター 科長 東 幸宏