読みもの

病気のお話し

 将来できれば認知症になりたくないと思っている方は多いのではないでしょうか。

 どのような人が認知症になりやすいか、過去に多くの研究が行われてきましたが、複数の研究結果を統合してより信頼性の高い結果を求める「メタ解析」という手法を用いた優れた論文が、2020年に発表されています。

 それによると、50才以降の生活で注意すべきことは、以下のようになります。①中年期は太りすぎず老年期はやせすぎない②定期的に運動する③知的活動をする(読書や将棋などの趣味)④煙草を吸わない⑤睡眠を十分にとる⑥糖尿病にならない/きちんと治療する⑦うつ病を治療する⑧高血圧を治療する⑨起立性低血圧(立ちくらみ)を是正する⑩心房細動(不整脈)を治療する⑪ビタミンCをとる⑫バランスの良い食事をとる⑬ストレスを軽減する⑭血中ホモシステイン値が高ければ治療する。

 認知症は、単一ではない、多くの複合的な要因で生じます。⑭は検査しないとわかりませんが、その他については思い当たることがあれば、一つひとつつぶしていくようにしましょう。

神経内科 科長 伊藤 敦史