読みもの

病気のお話し

 現在の「紙」の母子健康手帳がなくなるかもしれないというお話です。

 東日本大震災では、多くの大切なものが津波によって流されてしまいました。母子健康手帳も例外ではありませんでした。そのため、現地の小児科医は、震災後、あらためて子供たちに予防接種を始めようとしたときに大変困ったそうです。それは、今までの予防接種の記録がないため、どこまで予防接種が終了しているのかを確認する方法がなかったからです。

 母親の記憶も震災後の不安な心理状況を考えると、正しいかどうかもわかりません。予防接種の記録は、母子健康手帳のほかに接種した病院やクリニックのカルテに残っています。しかし、今回のような大震災においては、医療機関自体が被害にあっているためカルテの記録を修復することが不可能なケースもあったようです。

 母子健康手帳は、成長・発達、予防接種などのかけがえのない健康記録手帳です。日本の母子健康手帳は海外でも高い評価を受けています。しかし、今回の震災で、記録の保存という観点からは非常にもろいことがわかりました。母子健康手帳を電子化し、一元管理する日もそう遠くはないと思います。

小児科科長 上牧務

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