2004.12.11
心臓に血液を運ぶ冠動脈の動脈硬化によって起こる狭心症や心筋梗塞を、まとめて虚血性心疾患といいます。すべての虚血性心疾患が狭心症から心筋梗塞へと順に進むわけではなく、突然心筋梗塞を起こす例もあります。虚血性心疾患を予防するには、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などの動脈硬化を進める危険因子をコントロールすることが大切です。
狭心症の主な症状は胸痛ですが、チクチクとした痛みではなく、「締め付けられる」「圧迫される」と表現されるような症状が典型的で、しばしば冷汗を伴います。痛みの場所は前胸部が多いのですが、頚部から顎・左上腕・歯という場合もあり様々です。また、症状の持続時間は5分以内のことが多く、ほんの数秒の痛みや、逆に数時間から数日続く胸痛は狭心症ではないことが多いようです。狭心症の誘引として特徴的なのは運動などの労作ですが、安静時に急に起こる場合もあります。安静時に起こった狭心症は、急性心筋梗塞に移行する危険が高く、不安定狭心症とか急性冠症候群と呼ばれ、特に注意が必要です。
狭心症は、症状のない時に記録した心電図では正常のことがあり、前述した症状・誘引・危険因子の有無が診断のために重要になります。 危険因子がいくつも当てはまる方、気になる症状がある方は、一度診察や検査を受けることをお勧めします。
循環器科診療科長 末吉 浩一郎