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セルフケア(SELF-CARE)症状の自己管理

顎関節症は、ぎっくり腰に似ていて、くいしばりや歯ぎしりがひどくなったり、体力が落ちたり、ストレスがたまったりすると再発することがあります。 何年に1回くらいの割合で再発を繰り返すことは珍しくありません。 したがって、顎関節症の治療のゴールは、症状をすっかり消し去ることではなく(それが可能な場合もあります)、症状とうまく共存できるようになることです。 そのためには、顎関節症の自己管理法を身につけることが必要です。

 顎関節症の自己管理
50代の主婦のAさんは顎関節が痛くて食事ができないといって口腔外科を受診しました。 痛みは耳や側頭部にまで放散し、うどんくらいしか咬めないという状態でした。 診察してみると両側の顎関節や側頭部、頬の筋肉にも強い圧痛が認められました。 また、Aさんは、雑巾掛けをしたりテレビを見たりするときに、いつも歯を強くかみしめていることに気づいていました。 主治医はAさんに、まず治癒を促すために痛んでいる筋や関節を安静にして柔らかい物だけ食べるよう指示しました。 また、常に上下の歯を接触させている癖をやめるように説明しました。 このようにして2週間もするとAさんは徐々に固いものが咬めるようになり、やがて普通の食事ができるようになりました。 Aさんは、くいしばりをやめ、食べ物の種類と固さを調節する事で顎関節症の症状を自分で管理できることを学びました。 その後もAさんは、顎の痛みがぶりかえしそうになると柔らかい食事に戻し、大きく口を開けなくて済むよう食べ物を小さく切って奥歯で咬むようにし、何日かして顎の痛みが良くなると、また普通の食事をするという風にしています。 Aさんはここ数年間この方法で顎の痛みを自分で管理しており、顎関節症が、病院に薬をもらいに来なければならないようなひどい状態に悪化することはなくなりました。

これでいいのです。
私たちは、専門医ですから顎関節症の患者さんの治療をすることが仕事ですが、患者さんの中には、仕事を休むわけにはいかず、治療を受けにいらっしゃれない方も少なくありません。 幸い、顎関節症は自己管理が可能な疾患ですから、以下の方法で自分で症状を飼い慣らし、顎関節症とうまく共存していければいいのです。 もちろん、可能であれば一度きちんと専門医の診察を受けたほうがよいことはいうまでもありません。

 Self-care
1)関節と筋の安静
関節や筋に痛みがある場合は、なによりもまず安静にすることが大原則です。つまり、顎の使用を最小限に抑え、状態を悪化させる様なことをしないで、自然緩解を待つのです。足首の捻挫と同じで、安静を守るだけで症状はずいぶん緩和します。
a)柔らかい食事
特に避けなければいけないのは、噛みごたえのある肉や生野菜、フランスパンの皮の部分、前歯で咬みきらなければならない固いものなどです。 他にも長く咬まなければならないものも避けなければいけません。 可能ならば、おかゆ、うどん、スープ、柔らかい煮物、ヨーグルトなどのほとんど咬まないで済む食べ物以外は食べない方が良いのです。 これを守ることで顎関節と筋肉は安静に保たれ、自然緩解しやすくなります。

  b)顎関節症を治す呪文:上下の歯を離す(ティースアパートteeth apart法)
上下の歯が接触するのは物をかみ切るときと飲み込む時だけで、これ以外の時には歯が接触しないのが普通です。もしそれ以外の時に上下の歯が接触しているなら、それはかみしめ癖があるということなので、ただちに止めなければいけませんい。なぜならかみしめは歯や顎関節、筋に大きな負担を強い、痛みの原因になるからです。
歯を離しておくための方法として、「唇を閉じて、奥歯を離し、顔の力を抜く」という簡単なフレーズを一日に何度も自分に言い聞かせます。この方法は、簡単で絶大な効果が得られる顎関節症治療の強力な武器であるため、専門医の間では「TMDマントラ(顎関節症を直す呪文)」とまでよばれています。

  c)ガムは禁止
チューインガムは顎を酷使させますから、顎関節症の人はガムを食べてはいけません。

2)口を大きく開けない
  a)あくびをコントロールする
あくびの時には、筋肉や関節の靭帯は通常以上に引き伸ばされるため痛みを悪化させます。 とはいっても、あくびをかみ殺すのは困難ですから、口を大きく開けずににあくびができるトリックをお教えします。
1) こぶしをオトガイ(顎の先端)にあてて、こぶしの押す力に逆らってあくびをします。 この方法により顎はこぶしに支えられ、必要以上に大きくあけずに済みます。
2) 手が塞がっている時にどうしてもあくびをしたくなったら、顎を胸にくっつけてあくびをすればよいのです。 こうすれば胸が顎を支えて、やはり口を大きくあけずに済みます。
3) その他に、舌先を上顎の前歯の裏側につけ、舌先が離れないようにあくびをするという方法もあります。

3)冷湿布
  打撲や捻挫などの急性の痛みに対しては、最初の48時間から72時間は冷湿布を応用するべきです。冷やすことによりはれや痛みは軽減します。氷を紙コップに入れて凍らせることで使いやすく成型することができますから、これをタオルに包んで痛んでいる部位にあてがうとよいでしょう。

4)温湿布
  湿タオルを電子レンジで温めたり、熱いシャワーを10分ほどかけることでも代用できます。大事なのは、毎日家庭で実行することです。

5)マッサージ
  痛んでいる筋を自分でそっとマッサージすることも効果があります。 温湿布の後で、気持ちいいと感じられる程度のマッサージを行うことは筋のリラクゼーションに有効です。

6)寝るときの姿勢
  寝ている間の姿勢も重要です。 仰向けに寝ることができない人は意外に多いのですが、仰向けになることによって顔や顎や首の筋肉はよりリラックスした位置をとることができます。 もし、腕や硬い枕を片方の顎の下に入れて横向きに寝ると、顎は反対側に押されて顎関節や筋肉に一方向からの力をかけることになり、顎にストレスがかかりますからこのような寝方をする習慣を止めるよう努力しなければなりません。
また高すぎる枕は、顎をくいしばりやすくしたり、首の後ろの筋を疲労させますから、適切な高さの枕を選択することも重要です。

 

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