1. 静脈瘤とは
下肢の静脈が拡張、蛇行している状態です。
原因としては静脈に存在している弁が、立ち仕事、妊娠、出産、遺伝的素因等により一方通行性の機能が廃絶する(弁不全)ために起こります。
別名「すばこ」とも言われ、女性の30~40人に1人の割合で存在する病気といわれますが、進行も遅く、命にかかわる病気ではないため医療関係者も含めて、関心が薄く、多くの患者さんが無処置のまま放置されているのが現状です。状況により重症例では皮膚潰瘍、色素沈着、湿疹が生じてくることがあります。
2. 下肢の静脈の解剖
下肢には深部静脈、表在静脈、穿通枝が存在し、表在から深部へと血液は流れます。
また、表在の静脈には足首の内側から膝の内側、そけい部まで流れ、そけい部で深部静脈に合流する大伏在静脈と、ふくらはぎの真後ろを走り、膝の裏側で深部静脈に合流する小伏在静脈の2種類があります。

■ 正常な下肢の血液(静脈)の流れ
表在から深部静脈に血液が流れ込みます。
■ 静脈瘤のある下肢の血液(静脈)の流れ
弁不全(逆流)があるため、表在静脈の血流が本来と反対に流れます。 この逆流により、下肢静脈還流のうったいが生じ、だるさ、鈍痛、むくみ、熱感、 こむら返り等の「うっ滞症状」が出現します。
3. 症状について
表在静脈の血流が逆流すること(静脈還流異常)により下肢に「うっ滞症状」が出現します。典型的なうっ滞症状としては、だるさ、鈍痛、むくみ、熱感、こむら返り等があります。重症例ではさらに皮膚潰瘍、色素沈着、湿疹を併発してきます。
ただし、静脈瘤患者さんの約半数の方は、静脈瘤の経過が長く、進行が遅いために静脈の拡張、蛇行のみが強度であっても、うっ滞症状が出現しないことがあります。
4. 治療について
静脈の機能障害(弁不全)が原因となっているため、内服薬では治療することはできません。治療の根本は表在静脈の血液の逆流をなくすことにあります。
| 症状 | 治療方法 |
| 処置を希望されない患者さん | 弾性ストッキング サポーター(圧迫用)等 |
| 軽い静脈瘤 | 硬化療法 |
| 伏在静脈に逆流のある静脈瘤 (軽めな方) |
局所(結紮)手術+硬化療法 |
| 伏在静脈に逆流のある静脈瘤 (中等症以上の方) |
ストリッピング手術+静脈瘤切除+硬化療法 |
治療用の弾性ストッキングは、外からの圧迫により表在の静脈の逆流を減少させ、うっ滞症状を軽減させます。ただし、弾性ストッキングは根本的な治療ではなく、今以上に悪化することを予防することが主体の治療方法となります。 弾性ストッキングは就寝時以外(立っているとき)に着用することで効果が生じます。また弾性ストッキングを着用して消失するうっ滞症状は、ストリッピング手術、局所手術(結紮手術)、硬化療法等の治療を行えば、弾性ストッキングなしで症状をなくすことができます。 弾性ストッキングは病院地下の売店、市中の薬局等で取り扱っています。
静脈瘤内に薬剤を注射し、人工的に血管内に炎症、血栓化を起こし、その炎症、血栓が自然消退することを利用し、静脈瘤の治療を行います。硬化療法は軽い静脈瘤(拡張した静脈の径が5mm以下)、または、伏在静脈に逆流のないものがよい適応となります。
硬化療法を施行した後は血管内の血栓を少しでも少なくするために、弾性包帯を2日間巻いておく必要があります。硬化療法は外来で施行可能ですが、状況により数回の施行が必要となります。
硬化療法は血栓を形成させるため、施行後にしこり、鈍痛、色素沈着を伴うことがあります。通常しこり、鈍痛は1~6ヶ月程度で消失、軽快します。色素沈着は軽快するまでに6~12ヶ月程度時間がかかることがあります。
3. 局所(結紮)手術+硬化療法について
軽い静脈瘤では硬化療法単独で治療が可能ですが、伏在静脈に逆流があるような静脈瘤では、硬化療法単独の治療ではほぼ全症例で再発を認めてしまいます。このような場合にはそけい部、または膝裏の伏在静脈の付け根、または膝上(下)の伏在静脈の本幹を局所麻酔で結紮手術を併用することにより、良好な結果を得ることができます。
局所手術は外来で施行することが可能です。ほとんど生活制限はなく、歩いて帰宅することが可能です。(弾性包帯を2日間まきますので、2日間は入浴できません)
中等症以上の方は、局所(結紮)手術+硬化療法を行った場合、硬化療法による血栓形成の程度が強く下記のストリッピング手術+硬化療法をお勧めします。
4. ストリッピング手術+静脈瘤切除+硬化療法
中等度以上の伏在静脈に逆流があるような静脈瘤の方にお勧めする治療方法です。
ストリッピング手術とは通常2cm程度の傷を伏在静脈の上下にあけ、中にワイヤーを通して機能の壊れた伏在静脈を切除する方法です。原因となる伏在静脈の処理が確実に行わうことができるため、以前から行われている手術方法です。以前は伏在静脈の全長を切除していましたが、膝下の中央より下では伏在静脈と知覚神経が併走しており、術後の知覚障害が生じることがあったため、現在では大伏在静脈の切除は膝下までにとどめる選択的ストリッピング手術が主流となっています。ストリッピング手術と同時に下腿の大きな静脈瘤は2cm程度の傷から直接切除を行い、細い静脈瘤に対しては硬化療法で対処します。
手術は腰椎麻酔が必要になるため、3泊4日の入院で行っていますが、静脈瘤の確実な処理を行うことができるため、中等症以上の方には最もお勧めする方法です。
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手術後4日目からシャワーを浴びていただいてかまいません。テープの上からお湯をかけてかまいません。消毒は不要ですので、ぬれた水をタオルで拭いてください。シャワーで問題なければ、手術後一週間で入浴していただいてかまいません。ただし、術後1ヶ月程度は熱を持ちやすい状況ですので、長時間の入浴は避けてください。もし熱を持った場合には冷やしていただくことが有用です。 |
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