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過去のおはなし

 

新世紀の医療(7)

 

10月に入り、朝晩がめっきり涼しくなってきましたね。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので、お体にはお気を付けください。
気温の変化に体がついていけないのだと思いますが、気持ちの問題もあるのではないで しょうか?やはり秋と言うのはどこかさみしいものです。ましてやこれから寒い冬が やってくると思うと自然と気持ちが落ち込みます。
人間の免疫機能と言うのはこの”気持ち”に大きく左右されるのです。
昔から「病は気から」と言いますがほんとそのとおりで、落ち込んだり暗い気持ちになると免疫機能が低下すると言うデータもあり、医学的にも証明されています。
ですから皆さんも、気持ちだけでも明るくいきましょう!!
景気もあまりパッとしませんが、気持ちまで落ち込むのは厳禁です。
実りの秋ですからおいしいものをうんと食べて、これからくる寒い冬に備えてください。
今回のお話は前回の続きで、遺伝子治療の明るい話題をお届けしたいと思います。

 

 

今回は遺伝子治療について具体的に例を上げて説明しましたが、どれもあまり良い成果を上げているとは言えませんでした。
今回はそんな遺伝子治療の中でも比較的成果を上げている治療法をご紹介したいと 思います。
現在、遺伝治療はがんよりひとつの遺伝子異常から起こる遺伝性の病気で突破口が開かれようとしています。
つまり、がんは一時的に少し押え込んでもすぐ元に戻ってしまったりして効果が見えにくいのですが、単一遺伝子病はひとつの遺伝子異常が原因である機能が失われた病気ですから遺伝子の導入により少しでも正常な蛋白質が作られるようになれば、治療効果がはっきりと現れる可能性がある訳です。
たとえば、血友病と言う病気があります。この病気は血液が固まるのに必要な因子の ひとつが欠乏している為に、わずかなケガでも出血が止まらず、関節内の出血や鼻血、血尿などがおきてしまうのです。現在は出血するたびに欠乏している因子を補ってやるのですがこれでは完全な治療とは言えません。そこでベクター(病原性のないウイルスを使用する)と呼ばれる運び屋に欠乏因子を発現する遺伝子を組み込み筋肉に注射したところ、大変期待のもてる結果となった事が報告されています。
また、心筋梗塞や狭心症の患者さんにも遺伝治療が効果を上げる可能性が出てきました。
心筋梗塞や狭心症と言うのは、心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈が詰まったり、狭くなったりしておきる病気ですが、現状では狭くなった冠動脈を風船で広げたり、他の動脈を使ってパイパスをつくる手術などが行われていますが、遺伝子治療で冠動脈を再生すると言った夢のような治療法が研究されています。<br />
その可能性を生み出したのが、血管内皮増殖因子(VEGF)という血管を作る蛋白質です
このVEGFを発現する遺伝子を直接注射することであたかもバイパス手術を行ったかのように新たな血管ができると言うのです。
まだまだ追試が必要な段階ですが、血管造影検査で新生された血管が確認できたと言う 報告もあります。今後期待の持てる治療法には違いありません。
さて二回にわたって遺伝治療のお話をしてきましたが、如何だったでしょうか?
遺伝子治療が万能であると言った期待は薄れたかもしれません。特にがんなど複数の 遺伝子が絡み合い、また遺伝子以外の要因もある疾患に対しては今のところ目立った
効果はありませんでした。しかし単一遺伝病や機能のはっきりした遺伝子を使用しての 治療法には大いに期待が持てるのも事実です。今後ますます遺伝子解析が進んでいけば、いろいろな機能を発現する遺伝子がはっきりとしてくる事でしょう。それらをうまく利用した治療法が効果を上げるのも時間の問題だと思います。
今回で、ゲノム解析から始まった「新世紀の医療」は終わりたいと思います。
次回のお話はまだ考えていませんので予告は出来ませんが、何の話になるか楽しみに していてください。

 

 

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