新しい年度になり、このホームページも開設から1年が経ちました。
市民の皆様に今話題の医療情報を出来るだけわかりやすく提供していくことを目的にこのコラムを始めましたがどうでしょうか?お役に立っていますか?
金融ビックバンが大方終息し始め医療ビックバンが本格的に到来するといわれています。
前回のお話でも書きましたように、医療は商品ではありません。
金融業界のようにただ淘汰されていったのでは必ず歪みが生まれます。その歪みによって左右されるのは命である訳ですから、今まで以上に厳しい目で世の中の流れを判断していかなければなりません。その為の指針としてこのページがお役に立てればと思っています。最初から重い話をしてしまいましたが、本当に今後の動きには注意が必要です。
今月のお話は前回予告した通り遺伝子のお話です。医療に関してビックバンが訪れるというお話をしましたが、技術面から見たビックバンは何といっても遺伝子解析です。
今後どのように医療に生かされていくかは未知数の部分が多いのですが、医療を根本的に変えるかもしれないのは事実です。難しいテーマなので基本的なことを出来るだけ分かりやすく書きたいと思います、皆さんが遺伝子に関して興味を持たれるきっかけになればと思っています。
病院の診察室で、「あなたはガンになりやすい遺伝子をしていますので今から言うことに注意して生活をしていってください。」このような会話が交わされるのも,もう間近だといわれています。
いったい何がどう変わったからこんなことが出来るようになったのでしょうか?
何がの部分には「遺伝子解析」が当てはまります。ではどう変わったのでしょう。 一言で言えば、「解析技術が飛躍的に進歩した。」ということでしょうか。
ここ数年のコンピューター技術の進歩で、約30億文字(新聞にすれば10年分)にあたる人間の遺伝子情報が読み取られ、”人の設計図”が明らかになりつつあります。
これが、最近話題の「ヒトゲノム計画」です。2000年の春と言いますから本当にもうすぐですが、全ヒトゲノムを大まかに解読した草案が発表されると言われ、2003年には完全に解読が終了するといわれています。
以上のことで大まかなことはわかって頂いたかと思いますが、文中に何度も出てきましたゲノムとはいったい何のことなのでしょうか。ゲノムについてお話する前に、遺伝子について基本的な事柄に触れておきましょう。なんか高校の生物の授業みたいだと敬遠しないでください。
それでは最初に遺伝子と同じような場面でよく登場する言葉に染色体とかDNAだとかがありますがこれらはいったいどのような関係に在るのかを整理してみましょう。
【Keyword】
染色体∋DNA∋遺伝子
まず、染色体だとか遺伝子とかと言うものはどこにあるのでしょう。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ヒトの体を形成している最小単位である細胞内に存在する核と言う物質中にあります。
したがってこれから話す遺伝子だとかDNAに関する事柄は1つの細胞に中での出来事と理解してください。
【染色体】
核内に存在するDNAは、ヒストンという蛋白質と結合しクロマチンと言う細い糸状をしていてこのままの状態では顕微鏡では観察できません。しかし、細胞が分裂するときにクロマチンは凝集して太い紐状になり、顕微鏡で観察できるようになります。この紐状の構造を「染色体」と呼びます。
細胞分裂の時に観察できる染色体の数は生物の種類によって異なりますが、ヒトの場合2本を1組とした23組の染色体が観察できます。2本ずつの染色体は片方は父親から、もう片方は母親から由来しています。
その23組を分別しますと22組ある常染色体と1組の性染色体に分けることが出来ます。
【DNA】
DNAの正式名称はデオキシリボ核酸と言い、名前の由来は核の中からとれた酸性物質ということで核酸(Nucleic Acid)となりました。構成としましては、塩基・リン酸・糖という3つのパーツから成り立っています。塩基にはアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4種類があり、アデニンとグアニンをプリン塩基、シトシンとチミンをピリミジン塩基と呼びます。
この塩基の並び順(塩基配列)こそが遺伝暗号(遺伝情報)と呼ばれ3つ並んだ塩基で1つの蛋白質をつくる情報となります。遺伝子の本体はDNAですが、実際に体の組織を作ったり体内の化学反応を進めているのはほとんど蛋白質です。DNAが体の設計図とすれば、蛋白質は大工さんということになりますので、DNA情報も蛋白質に変換されなければ意味を成さないと言うことです。
【遺伝子】
ヒトの場合、1つの細胞には23対(46本)の染色体が存在することはお話しましたが、その中の1本のDNAには平均で1億の塩基が並んでいます。大きさを言いますとDNA1本の長さは約3.3nmで太さが2nmです。
【DNA】
のところで3つの塩基で1つの蛋白質をつくると言いましたが1本のDNAには1億の塩基が並んでいるわけですから、計算上はDNA1本から1億/3個の蛋白質が出来ることになりますが、実際はそうではなくある一部分の塩基配列が蛋白質を作るために働いているのです。その蛋白質を作り出すために働くDNAの一部分を遺伝子と言います。
その遺伝子も働きの違いから次の2つに大別されます。
1. 構造遺伝子と呼ばれ、どのような蛋白質を作るか命令する働きを持つ。
2. 調節部位と呼ばれ、蛋白質をいつ、どれだけ、作るのか、また作らないのかを命令する働きを持つ。実はDNAの中で遺伝子以外の部分が最も多く、全体の90~95%を占めこの部分に関してはどのような役割を果たしているのかよく分かっていません。
【まとめ】
同じような意味でよく使われている3つの用語をそれぞれの働きなどを交えて説明してきましたが3つの用語の位置関係は分かって頂けましたか?最初のKeywordでも書きましたように
染色体の一部がDNAであり、DNAの一部が遺伝子なのです。
一般的にはほとんど同じ意味で使われていますが、今回お話するヒトゲノム計画を分かって頂くためにはこの位置関係が必要かと思い、最初に書きました。
最初からたくさんのことを書くとあきられてしまいそうなので今回はこのくらいにしておきます。
次回は、ゲノムについての本題に入りたいと思います。
P.S
病院正面玄関の木立で、ウグイスが鳴き始めたのをご存知ですか?最初はぎこちない鳴き方でしたが、最近はホーホケキョときれいに鳴いています。
