尿は、腎臓で血液をろ過して作られる排出物です。しかし腎臓は単に血液をろ過しているだけでなく、ろ過液(原尿)から生体にとって必要なものを体内に再び戻す(再吸収)というきめ細かい作用も行っています。これにより、体内の溶液(体液)の恒常性を維持しているのです。 具体的な数字をあげてみましょう。原尿の量は一日に100~150リットルにも及びますが、1日の尿量は1リットル前後であり、水分の99%は体内に戻される事になります。次に、血液がろ過され原尿になり再吸収され排尿されるまでを簡単に説明しましょう。 左の図を見てください。これは、腎臓における尿生成の機能的最小単位であるネフロンといいます。 ネフロン は簡単に説明しますと、糸球体・ボウマンのう・尿細管の3つから成り立っています。急須にたとえると、茶こしが糸球体、急須本体がボウマンのう、注ぎ口が尿細管です。しかもこの注ぎ口が、再吸収機能を持つ優れものなのです。このネフロンが1つの腎臓に約100万個あるのです。糸球体でろ過されて出来た原尿が、ボウマン嚢に溜り、尿細管を通過するときに周りの細胞へ再吸収され、残ったものが膀胱に溜まり排尿される。簡単に言えばこのような経過をたどります。
尿一般検査には、尿定性検査と尿沈渣があります。
| 定性検査 | 言葉から判断すると、性状を定める検査ということになります。これと対比して使われる言葉に、定量検査というものかあります。例をあげて説明しましょう。あなたがレストランに行き、とてもおいしいスープとであったとします。その時あなたは、まず何が入っているのかが気になりますね。ベースはコンソメなのかオニオンなのか、はたまたコーンなのか。塩にコショウに…。その後食べているうちにますます気に入り、家で作ってみたくなり 先ほど思い浮かべた材料の分量まで知りたくなります。つまり最初の疑問を解決するために あたりをつけるのが定性検査で、もっと詳しく知る検査が定量検査なのです。 |
<現在院内で行われている、尿定性検査の項目>
| ≪色調≫ | 健常人の尿は、淡黄色(麦わら色)をした透明な液体ですが水分摂取量や発汗量による尿の希釈濃縮状況、薬剤投与や食物摂取などによって色調も変化します。したがって、尿の色調変化は必ずしも病的変化からくるものばかりではありません。 |
| ≪混濁≫ | 尿の混濁はさまざまな原因によって起こります。血液、細菌、上皮細胞(尿の通り道にある、色々な部位の細胞)、脂肪などの混在により排尿した時点で混濁している場合と、しばらく放置した後に塩類の析出などにより混濁してくる場合があります。 |
| ≪PH≫ | 尿PHの単独検査としての利用価値は低く他の検査を判定する時の手助けとなります。 |
| ≪比重≫ | 水の重量を1としたときの、尿の重量との比率。色調と同じように、尿の希釈濃縮によっても変化します。 |
| ≪蛋白≫ | 尿中の蛋白は健常人でも少量含まれていますが、通常の定性検査ではほとんど検出されません。 |
| 分 類 | 成 因 | ||
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運動後・入浴後・発熱時 | ||
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起立性 | ||
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心不全・貧血・甲状腺機能亢進症・など | ||
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糸球体性 糸球体腎炎・妊娠中毒症・など 尿細管性 Wilson病・水銀.カドミウム中毒症・など |
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尿管・膀胱・尿道の炎症・結石・腫瘍 |
専門的な言葉が並んでしまいましたが、蛋白尿は上の図の通り、生理的蛋白尿と病的蛋白尿に分類され、病的蛋白尿はさらに、障害部位、発生機序から腎前性腎性(糸球体性、尿細管性)、腎後性蛋白尿に細かく分類されます。 それでは、病的蛋白尿について、もう少し詳しく説明しましょう。
1.腎前性蛋白尿
言葉の通り、腎臓に血液が流れ込む以前に何らかの理由(生体組織・細胞での過剰産生や、組織細胞の崩壊による血中への放出)で血中の蛋白量が多くなり、尿細管の再吸収能力を上回ってしまい、蛋白尿となってしまう。
2.腎性蛋白尿
1)糸球体性蛋白尿
病的蛋白尿の中で最も頻度の高く、排出される蛋白尿も高値となる事が多 い。原因としては、糸球体が障害を受け蛋白質の選択的透過能が失われ、通常ならろ過されずに血液中にとどまるはずの蛋白質、が尿中に排出されてしまう。
2)尿細管性蛋白尿
尿細管の障害により、糸球体からろ過された蛋白(正常の糸球体も分子量 の小さい蛋白はろ過する)が、再吸収されないために起こる。
3.腎後性蛋白尿
| ≪糖≫ | 尿中の糖質は、血漿由来で分子量の小さい単糖類のブドウ糖、果糖、ガラクトースやショ糖、乳糖などの二糖類の成分からなります。 このうち、健常者尿では微量のブドウ糖が存在し、病的状態でもそのほとんどがブドウ糖の排出増加として観察される事が多い。ブドウ糖以外の排出増加が認められる事もあるが、尿糖といえば一般的にブドウ糖を指しています。食物中の炭水化物は、消化液中の酵素によりブドウ糖に分解され小腸より吸収される。血流によって腎臓に運ばれたブドウ糖は糸球体を自由に通過し、糸球体ろ液(原尿)として尿細管に至る。ここでほとんどすべてが再吸収され血中に戻されます。 尿細管での最大再吸収能をブドウ糖尿細管再吸収極量(TmG)と呼び、正常では約350mg/分です。糖尿病をはじめとする種々原因で血糖値が上昇しTmGを超える多量のブドウ糖が尿細管に流れ込むと、再吸収されずに残った糖が尿中に排出され、尿糖(+)となります。 |
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| ≪ケトン体≫ | 耳慣れない言葉がでてきましたね。これは、アセトン・アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸の総称です。ケトン体は脂肪代謝の中間体として肝臓で生成され、骨格筋、脳、腎臓などにおけるエネルギー源、脂肪合成に利用されていて正常では尿中にほとんど検出されません。 糖尿病や十分な食物摂取が出来ない状態などの糖質代謝異常では、代替エネルギーとして脂肪の分解が進み、ケトン体の生産が進み血中、尿中に排出される事のなります。ケトン体の検査は一般的に尿糖検査と合わせて、糖尿病患者の病体把握、コントロールの指標の一つとして用いられますが、糖尿病以外の種々の病態で陽性化します。特に小児では感染症が引き金となり、嘔吐、下痢などにより血中及び尿中においてケトン体が陽性となります。ケトン体は血中から腎臓を自由に通過し尿中に排出されやすいので、体内の状態をいち早く感知できます。 ちなみに私も、りんごダイエットなるものを試したとき、その日のうちに尿中ケトン体が陽性になり驚いた事がありました。 |
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| ≪潜血≫ | 潜血検査は、本来尿中に存在するヘモグロビン(血中・尿中溶血赤血球由来)を化学的に検出する検査ですが、その測定原理から赤血球そのものも陽性となります。血尿は赤血球が混在している尿で、直接の証明は尿沈渣によりますが、多量に混入しているときは肉眼でも識別できます。血尿は全身性の出血傾向、腎臓、尿路、泌尿器系の腫瘍、炎症、異物、先天性の異常などさまざまな成因によって起こってきます。
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| 1. | 糸球体性血尿 糸球体は前のページで書いたように、茶こしのような働きをしていてその網にあたる部分を糸球体毛細管壁といい、3層構造になっています。そのいずれかの層が、何らかの原因により破綻し通常通過できない赤血球が尿中に出現してしまい起こる血尿をいいます。 |
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| 2. | 尿細管、間質性血尿 尿細管にも尿細管基底膜という膜がありその破綻による血尿が主です。基底膜を破綻させる原因には、間質性腎炎があります。 |
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| 3. | 腎、尿路由来の血尿 腎臓の糸球体、間質、尿細管などの疾患による血尿は一般的に内科的、小児科的血尿と考えられますが、腎、尿路の出血は泌尿器科的血尿と称せられ、尿路腫瘍、尿路結石、尿路の炎症、外傷などでみられます。これらは、尿路の粘膜面での出血としてとらえられるものです。 |
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≪その他の項目≫
胆汁色素(ビリルビン)やウロビリノーゲンンなどがありますが、体内でのそれぞれの代謝を理解しないと話が進まないので、今回はやめます。
| 尿沈渣 | 尿沈渣は、尿中の有形成分を顕微鏡で観察する形態検査です。これらの成分を質的、量的に観察し腎・尿路系、ときには全身性疾患の補助診断、治療効果の判定病態把握に役立てられています。 |
<検査方法>
| 1. | 新鮮尿を十分に攪拌してから、先の細くなった試験管に10ml移す。 つまり患者さんは採尿室に書いてある注意書き通り、中間尿だけを 尿コップに10ccぐらい採尿出来れば検査は出来る事になります。 |
| 2. | 決められた回転数で5分間遠心沈殿する。 尿の入った試験管を遠 心機という機械にかけ、高速(1分間に1500~1700 回転)で回転させ有形成分を試験管の底に集めます。 |
| 3. | 沈渣量が0.2mlになるように上清を吸引除去する。 試験管の底に 0.2cc残し、上澄みを捨てます。このとき、試験管を逆さにし てこぼす のではなく、上から吸い取るようにします。 |
| 4. | 残った沈渣をよく攪拌し、15μlをスライドグラスに載せ、カバーグラスをかける。 試験管の底に残ったものをよく混ぜて均一にし、決めれた量を顕微鏡で見 るためのガラス板に載せ、その上にさらに薄いガラス板をかぶせます。 |
| 有機成分 | 無機成分(結晶、塩類) | ||
| 血球系 | 赤血球 白血球 | 通常結晶 | 尿酸 シュウ酸カルシウム リン酸アンモニウムマグネシウムなど |
| 上皮系 | 扁平上皮 移行上皮 腎尿細管上皮 封入体細胞 卵円形脂肪体 |
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| 円柱系 | 硝子円柱 上皮円柱 顆粒円柱
ロウ様円柱 脂肪円柱 赤血球円柱 白血球円柱 |
異常結晶 | シスチン
ロイシン チロシン コレシテリン ビリルビンなど |
| 微生物系 | 細菌 真菌 原虫(トリコモナス) | ||
| 尿量 | 500~2000ml 500ml以下を乏尿、2000ml以上を多尿とよぶ。 |
| 比重 | 1.005~1.030 |
| pH | 5.0~7.5(平均6.0) |
| 蛋白 | (-)10mg/dl以下 定性検査にて |
| 糖 | (-)30mg/dl以下 |
| ウロビリノーゲン | (+-) |
| ビリルビン | (-) |
| ケトン体 | (-) |
| 潜血反応 | (-) |
| 尿性検査 | 1検体にかかる時間は、5分以下です。 |
| 尿沈渣 | 遠心する時間(5分間)と、通常定性検査を行った後沈渣に取り掛かるので、顕微鏡で観察するまでに10分は掛かります。観察する時間も通常5分以内ですので、計15分ぐらいということになります。あくまでも、1検体に掛かる時間です。 |
尿一般検査の項目の中で日常生活からの因子によって影響を受けるものとして潜血反応と、糖検査があります。両者とも、試験紙との反応の過程でアスコルビン酸(ビタミン剤)による阻害を受けます。
つまり、ビタミン剤の服 用やビタミンCを含む飲食物を摂取していると、実際に赤血球や糖が尿中に出現していても、検査結果は(-)となってしまうと
いうことです。
尿を提出するときに一言服用を告げていただくと助かります。
その他にも色々ありますが、日常の検査の中でよくあるケースはこの2つです。
検査料については、特集ページ(今月のお話)で取り上げる予定で すので、今回は簡単に金額だけ書きます。 尿一般検査(先の正常値で上げた項目全部で)28点 尿沈査 30点 1点10円ですので、280円と300円ということになります。
