心臓を中心とした血液の循環は生命活動には無くてはならない機能であり生命の基本です。心臓は一定のリズムで正常に収縮し血液を送り出している間はその存在を自覚することはまずありません。しかしひとたびリズムに乱れが生じれば“動悸”を感じ、十分な血液を循環できなければ、疲労感、呼吸苦を自覚し、さらに重症化すれば生命を維持できなくなります。私達、“循環器科”は食事や禁煙などの生活指導、薬剤、カテーテル診断・治療などを駆使して循環器疾患の予防、治療、再発の防止を行う内科です。 循環器領域疾患の治療の進歩は目覚ましいものがあります。例えば急性心筋梗塞で入院した人の死亡率は、発症直後にカテーテル治療を行うことで半分になりました。また以前であれば心臓外科で手術治療を行わなければならなかった狭心症の患者さんの多くが、カテーテル治療で数日の入院で症状の改善が図れるようになりました。しかし反面、良い薬剤や技術が発達すると手術に踏み切る時期の確定が難しくなっています。私達は常に新しい知見と技術を取り入れ、内科的・外科的な治療の区別なく患者さんが病気を克服できるようにお手伝いさせていただきます。
■ 狭心症と心筋梗塞 狭心症は、心臓を形作っている筋肉(心筋)に十分な血液の供給がない状態(虚血)により自覚する胸部不快感で、心筋細胞の不可逆性の障害(心筋壊死・心筋梗塞)を伴わないものと定義されています。原因の多くは動脈硬化が進み心臓の血管(冠動脈)が細くなることにより生じます。冠動脈の狭窄に対してはカテーテル治療が有効です。一方、冠動脈が細くなっていなくても自律神経や血管反応の異常によって一過性に狭窄を生じる冠攣縮性狭心症という狭心症もあります。
狭心症は心筋梗塞の前兆であるといわれますが、狭心症がないのに突然心筋梗塞になることもあります。一見、狭窄のない冠動脈にも動脈硬化が進行し血管の内壁が障害されると、ある日突然血管の内壁が破綻し、そこに血が固まりつき(血栓)、冠動脈が詰まって心筋梗塞が起きます。そのため高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などの動脈硬化の進行を加速する因子をコントロールすることが心筋梗塞の予防に大切です。当院では糖尿病科の医師と共に治療を進めています。
狭心症の中でも、今までの治療薬で症状のコントロールのつかなくなった、最近始まった、程度が強くなったなどの狭心症は前述した冠動脈閉塞の危険が高い状態にあると思われます。また不幸にして冠動脈が詰まってしまった場合にも可及的速やかに再疎通を行えば心筋障害を最小限にすることが出来ます。そのため私達は、24時間オンコール体制で緊急時にもカテーテル治療を行っています。
■ 高血圧 血圧が高ければ、高いほど脳卒中や心筋梗塞・心不全などの脳血管障害や心臓病になりやすくなります。その危険を減らすために血圧を下げる必要があります。しかしながら血圧は絶えず変動するものなので、正しく血圧を測定し、血圧を低下させる治療が必要であるか否かを診断し、適切な目標血圧の設定と手段を講じる必要があります。最適な血圧の値については、様々な機関で高血圧ガイドラインが作られていますが、患者様の体質や病歴を十分に考えて適切な治療を行います。
■ 動悸と不整脈 心臓が原因となって胸部に不快な症状を自覚することを動悸といいます。たとえば、感情の高まりや激しい運動後に心臓がどきどきするのは生理的な現象で、動悸の全てが不整脈とは限りません。また期外収縮という不整脈は単発性のものは健康な方にも認めることもあり、不整脈の診断であっても特に治療を要さない例も多くあります。一方、高齢者の1割近くに認める心房細動という不整脈は自覚症状が全く無い場合もありますが、無治療であれば心不全や脳梗塞といった重大な疾患を引き起こすことがあります。 治療の必要性を判断し、適切な治療を行います。
■ 心不全 心不全とは、心臓の機能障害のために臓器が必要とする十分な血液を循環できない状態をいいます。その原因は前述の狭心症・心筋梗塞、高血圧、不整脈のほかに先天性心疾患、心臓弁膜症、ホルモンの異常など多岐にわたります。それらの複雑な原因を診断し、適切な治療を患者様の体質や体力に合わせて行います。
<<入院検査>>
■ 心臓カテーテル検査 カテーテルを用いて、冠動脈の狭窄や心臓の動きを撮影し、圧の測定を行います。狭心症や心筋梗塞、弁膜症、心筋症などのさまざまな心臓の病気を診断し、治療方法を決定、重症度を評価する検査です。
検査は局所麻酔で行い、体の中をカテーテルが動いても痛みを感じません。通常検査時間は1時間弱ですが、検査後6時間程度の安静が必要ですので当院では入院していただき安全に検査を行っています。
<<外来検査>>
■ 心電図(安静・運動負荷) 心臓の電気活動を記録する検査です。
■ トレッドミル運動負荷心電図 心電図を取りながら運動する検査で、狭心症や運動により悪化する不整脈の診断、運動耐用量などを判定する検査です。
■ ホルター心電図 24時間携帯型の心電図をつける検査で、その間の不整脈や狭心症の有無と自覚症状の対比を行います。
■ 心エコー(経胸壁・経食道) 超音波を用いて心臓の動きを観察する検査です。心筋梗塞や心不全、弁膜症の診断には重要な検査です。心臓の大きさ、形、動きを直接測定できるため、心電図や胸部レントゲンで心臓の異常を指摘された方にも行います。
■ 心筋シンチグラム 心臓の筋肉の血流を画像化する検査で、アイソトープ(放射性同位元素)を用います。運動や特殊な薬剤により心臓に負荷をかけアイソトープを注射して、その後に心臓の画像を撮ることにより、冠動脈の狭窄部位が推定でき治療方針の決定に重要な検査です。