・日本脳神経外科学会専門医 ・日本救急学会救急科専門医 ・日本医師会認定産業医 ・慶應大学客員講師
平成4年
・医学博士 ・日本脳神経外科学会専門医
脳神経外科ではクモ膜下出血や脳出血、頭部外傷、脳腫瘍、慢性疼痛、特発性正常圧水頭症などを主に加療しています。このうち、脳動脈瘤手術、脳腫瘍出術、定位脳出血手術、水頭症手術等は施設基準を満たしています。 脳虚血性疾患と頭蓋内感染性疾患は神経内科と共同で治療にあたっています。当院では脊髄疾患は整形外科が担当しています。また、当院には回復期リハビリテーション病棟があり、リハビリテーション科のスタッフが充実しているため、発症後可能な限り早期からリハビリテーションを施行しています。私は2003年3月に清水病院の脳神経外科科長として着任しましたが、現在は脳神経外科専門医2人体制で診療、手術に当たっています。患者様やご家族の方へのインフォームドコンセントを第一とし、患者さま、ご家族、脳外科スタッフが三位一体となって治療にあたることを目標としています。今後も、患者さま方により良い治療を提供することを目指して行きたいと考えています。
1.クモ膜下出血( 脳動脈瘤 ): 突然の頭痛で発症し、救急車で搬送されるのが一般的で、一度出血してしまうと約30%の患者さんが手術もできない重症例となってしまいます。私は、クモ膜下出血の直達術を約600例以上施行してきましたが、出血を予防することがより重要と考えています。MRI、MRA、3D‐CTアンギオなどの非侵襲的な検査で発見された場合、動脈瘤の位置や状態、患者さんの意向を考慮して手術適応を決定します。また、放射線科と協力しながら、動脈瘤の形や場所、患者さんの状態に合わせて、手術と血管内治療を選択できることは当院の大きな特徴と言えます。 また、本格的な出血の3〜5日前に前兆出血と言う軽度の出血を伴う患者さんが少なからず存在します。その患者さん方は、ただの頭痛やかぜとすませていることが多く、そのうち本格的な出血を起こしてしまうと重症となってしまうのです。重症な患者さんの中には、この様に本来軽症なうちに治療可能な患者さんが含まれています。突然の頭痛の場合、軽度の頭痛であっても安易に頭痛やかぜと片付けてしまうことは危険です。普段と違うガンガンする様な頭痛が急に始まったと言う場合は、ぜひ脳外科を受診してください。
2.脳出血: 救命のためには緊急開頭による血腫除去術を施行しますが、緊急手術を必要としない患者さんの場合は、機能予後を第一優先とし、患者さんへの侵襲をできるだけ少なくするとともに早期にリハビリを開始するため、局所麻酔による定位脳手術を第一選択としています。手術後は、可能な限り早い次期にベッドサイドリハビリを開始し、早期離床を計るとともに本格的なリハビリを開始します。
3.頭部外傷: 多発外傷の患者さんや、重症頭部外傷の患者さんが早急かつ適切な処置を必要とすることは当然です。しかし、受傷直後は普通に会話可能であったにもかかわらず数時間後に急変し、不幸な転帰を取る患者さんがいます。特徴としては、65歳以上の高齢者で、受傷後にめまいを訴えることが多く、早期のCT検査で軽微な急性硬膜下血腫や脳挫傷を主病変としていることが上げられます。抗血小板剤や抗凝固剤を内服している患者さんは特に注意が必要です。私は日本救急学会救急科専門医として3次救急病院に長年勤務し、現在までに頭部外傷約800例の手術を施行してきました。当院では低体温療法はもちろん、合併症を最小限抑えるため、頭部のみを冷却し、頭蓋内温度を低下させる機器も供えております。
4.脳腫瘍: 脳原発腫瘍に対しては障害を最低限に抑えるとともに、可能な限り腫瘍を摘出し、補助療法として化学療法、放射線療法を施行しています。ここでご注意いただきたい腫瘍があります。それは高齢者の痴呆や麻痺を主症状とした髄膜腫です。脳梗塞や老人性痴呆と診断されていた患者さんの中で、検査を施行すると脳腫瘍が発見される例があります。このような患者さんの内、特に髄膜腫では、摘出することにより痴呆や麻痺を治療することが可能です。脳外科や神経内科等の専門医を受診してください。
5.慢性疼痛とうつ状態 脳血管障害や頭部外傷などの後遺症として約30%の患者さんがうつ病、うつ状態に罹患すると報告されております。また、慢性頭痛の多くの患者さんが、不安神経症、うつ状態、不眠症を基礎疾患として持っておられます。これらの慢性頭痛や不定愁訴としての頭痛の中でも、多くの患者さんが治療可能ではないかと考えております。
6.特発性正常圧水頭症 歩行障害、認知機能障害、尿失禁を三大症状とするこの病気は、最近まであまり注目されず、最近やっとCTやMRIなどの検査での特徴や、診断法に関しても確立されつつある状態です。 この病気での認知症の特徴は、自発性、意欲の低下と注意力障害が中心です。つまり、呼びかけや、問いかけに対し反応が遅くなり、注意力が持続しないので、すぐに飽きてしまいます。歩行が不安定になり、一日中テレビを見ていたり、ボーとしていたりするなどの状態が多いのです。この病気の発生率は現在まだ正確にはわかっていません。ある病院の物忘れ外来では、患者さんの3.5%が特発性正常圧水頭症であったと報告されており、この数字から考えると、全国に約7〜8万人の患者さんがいるものと推定されます。しかし実際にはこの病気であるにもかかわらず、診断されていない患者さんもいるため、実際にはもっと多いだろうと言われています。 治療は水頭症シャント手術を行います。これには大まかに二つの方法があり、全身麻酔で行う脳室―腹腔(V−P)シャント手術と腰椎麻酔で行う腰椎―腹腔(L−P)シャント手術です。二つの方法にはそれぞれ、利点と欠点がありますが、当脳外科では原則的にL-Pシャント術を施行しております。 この病気の認知障害や尿失禁、歩行障害は、治療可能な病気であるため、まずこの病気を疑ってみることが大切になります。最近6ヶ月で4人の患者さんに手術を施行し、全員歩行障害の改善と認知症の改善を認めております。ある患者さんは、車椅子生活で尿失禁、認知症があり、精神病の診断で投薬されておられましたが、手術後約1ヶ月で歩行可能となり自宅階段も上り下りし、尿失禁と精神病様症状は消失しました。 思い当たる症状がある方は、まず脳外科を受診してみて下さい。